「第2回 街路樹サミット in 大阪」に参加してきました(後編)


2017年1月7日(土)に立命館いばらきフューチャープラザで開催された「第2回 街路樹サミット in 大阪」では、前半の基調講演に続き、パネルディスカッションがありました。

立命館大学経営学部教授の田中力さんは、代表を務める「育てる里山プロジェクト」についてお話されました。これは、新名神高速道路の建設によって失われてしまう茨木市北部千提寺地区の里山の植物を立命館大学のキャンパス内に移植して保護し、キャンパス内に里山を育てていくというもの。立命館大学の教職員、学生、市民の皆さんが共同で行われているそうです。

サミットの終了後、そのエリアを訪れてみました。




上の写真で、ベンチの向こうに小高くなったエリアがそうです。


植物を移植した後、夏に水をやりすぎたせいか、根腐れしたそうで、その後、「地球の庭師」と呼ばれている矢野智徳さんに相談され、土壌の中を水と空気が循環するように穴を掘ったりされたそうで、里山エリア全体を小川が流れるような感じに溝が掘られていました。



溝の中には、木の枝や岩などが入っています(詳しくは、矢野さんの「大地の再生講座」に参加したときの記事をご覧ください)。


写真では見づらいですが、頂上付近に植えられた木々の近くのところどころに大きめの丸い穴が掘られていました。


移植された植物には、名札がついています(こちらは「コバノガマズミ」)。今後、このエリアがどう育っていくのか楽しみです。このキャンパスに通っている学生さんたちも、卒業後に戻ってくるたびに木々が育っているのを見るのは楽しいだろうなぁと思いました。


景観を考慮して、たい肥置き場も木を組んでつくられたそうです。


こちらは、立命館大学の学生・教職員と市民が参加するガーデニングクラブ「Trefle(トレフル)」がデザイン・制作されたガーデニングエリア。


ここは講義棟のようです。植物が大事にされているキャンパスで、居心地がよかったです。

「岩倉公園」という市民の公園が隣接して壁やフェンスもなく一体化し、「立命館いばらきフューチャープラザ」には、ホールや図書館、レストラン、カフェなどがあり、学生以外も使用できるようになっていて、学生や市民が混ざって交流しやすくなっています。大学のキャンパスのこれまでのイメージにとらわれない、新しい在り方を肌で感じられてよかったです。


「街路樹サミット」のパネルディスカッションの話に戻りますが、今回、樹木医を目指す中学2年生の三浦夕昇さんも参加されました。2歳の頃から樹木に興味を持ち始め、お住まいの神戸中の街路樹の名前を覚え、家の庭で90種類以上の木々を育てているとのこと。サミットの最後に、観客フロアから「もし神戸の市長になったとしたら神戸をどんな町にしたいですか?」と質問され、「ぼくが市長だったら、神戸を森のような街にしたい」と堂々と答えられた姿に感動しました。

コンクリートで固められた街を歩いていると、悲しい気持ちになってくることがよくありますが、街の未来への希望が膨らんでくるサミットでした。


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