分業化は効率や喜びをもたらしたか? 自分にできることを取り戻す喜びを


どうやら、人間は思った以上にいろいろできるらしい。

分業化が進み、多種多様な専門家が生まれ、いつの間にか、いろんなことを専門家に任せてきたけれど、それによって、自分にできることや自分でする喜びを放棄してきたところがあるように思う。

分業化によって、効率が高まった、という説もあると思うけれど、果たしてそうだろうか。たとえば熱源にしても、電気で料理するには、電磁調理器の設計・販売・広告、発電施設の設計・建築・維持管理、発電に必要な燃料の掘り出し・輸送、家庭までの送電などなど・・・膨大な労力がかかって成り立っている。そのために必要な部分的な作業を毎日毎日、行っている人がいる。それに対して、近所の枯れた竹を庭に持ってきて火を起こせば、いとも簡単に料理ができあがる。時間もたいしてかからない。

一見便利に見えたり、効率が高まっているように見えても、それを実現するために大勢の人々の毎日の労力が必要となっている。それによって大勢の人間の人生がハッピーになればいいけれど、毎日忙しくて健康的な食事をする時間も余裕もなく、十分に眠る時間すら失われていることが多い。

人間にとって、本当に必要なものは何なのか? そんなことを考える暇も余裕もないほどに、現代社会は複雑で分業化されたシステムで覆い尽くされている。現代社会で生存するために必要なお金を稼ぐために人生の大半の時間が費やされていく。

分業化された仕事を自分の手に取り戻すことは、面倒や苦労が増えるのではなく、喜びすらも戻ってくることが多いのではないか。

たとえば、「家を建てること」。家を建てるのは大工でないとできないと現代人は思わされてきたが、かつては専門家でなくても建てていたはず。そのうち自分で家を建ててみたいと思いつつ、どういう建築法がいいのかわからずにいたが、先日、「コブハウス」という、土と砂と藁でできた家を知った。

夏は涼しく、冬は暖かく、土が湿度を快適に保ってくれ、しかも頑丈らしい。見た目も可愛く、勉強すれば自分でもつくれそう。

さっそく本を注文した。


The Hand-Sculpted House: A Philosophical and Practical Guide to Building a Cob Cottage (The Real Goods Solar Living Book)


本で建て方を学んで、まずはミニチュアの家を建ててみようかと思っている。誰かに建ててもらった家もいいけれど、自分の思い通りに自分で建てるのが一番楽しそう。


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