香川県まんのう町の県有林で、枝打ちの作業。
初めて枝打ちをしたときは、重たい枝打ちノコを持って、ずっと上を向いて、これはずいぶん大変な作業だと思いました。「なかなか大変ですね…」と80代の先輩のメンバーに言うと、「慣れてきたら力の入れどころがわかってくる」という返事が返ってきて、その意味がわかってきました。慣れてくると、枝打ちノコを持ち上げるというよりも、それを支えながら刃を動かす要領がつかめてきます。
枝打ちに必要な基本的な道具は、枝打ち用のノコ(高枝切りハサミ、などとも呼ばれます)
持ち手を伸ばしたり縮めたりできるようになっています。最大まで伸ばしたときの長さは商品によっていろいろあり、長いタイプは、高い場所の枝打ちをするときに便利ですが、長い分、重たくなるので、低い位置の枝打ちを主にするときはあまり長くないタイプのほうが作業がラクです。
最初の頃は、枝打ちノコを伸ばしたり縮めたりして木を1本ずつ枝打ちしていたのですが、ノコの長さを一定にして、自分の立っている場所からまっすぐに切れる枝を見つけ、複数の木を同時に作業したほうがスムーズだということも、やっているうちにわかりました(このコツをつかんでから、枝打ちが一気に速くなりました)。枝に導かれながら進んでいく感じで、どの枝を切ろうかと迷うことも少なくなります。
枝打ちをするとき、枝の付け根の枝座(しざ)というコブ状になったところは切らないで残しておかないと、製材したときの材木にシミが入ってしまうそうなので注意が必要です。慣れてくると、一発でちょうどいいところに刃を入れられるようになり、ノコを引いた感触で適切な位置を切っているかどうかが分かるようになってきます。
林道に面した樹を思いっきり枝打ちしてしまうと、風で倒れやすくなったり林内が乾燥したりするので、林の周囲の木はあまり枝打ちしないほうがいいようです。
畑仕事もパソコン仕事も、紙に原稿を書くときも、下を向いてばかりなので、たまにずっと上を向く作業をすると身体のバランスがとれてくるように感じます。枝打ちは根気が要りますが、黙々とした瞑想的作業で、やっているうちに夢中になってきます。
いつも、枝打ち用ノコで届く範囲だけ枝打ちしていますが、もっと高い位置まで枝打ちしたい場合、枝打ち用のハシゴもあります。
枝打ち機や、枝打ちロボットなんていうのまであるようですね。樹の上まで自動的に登っていって枝打ちしてくれるようですが、果たして効率はいいのかわるいのか…実物は見たことがありません。
森づくりの概要については、下の本で学びました。おすすめの一冊です。
「植えない」森づくり―自然が教える新しい林業の姿(大内正伸 著)
【関連記事】
by 硲 允(about me)