他人からコントロールされないために(その2)

他人からコントロールされないための心がけシリーズその2。

他人を意識的にコントロールする側の方法として、相手がそのコントロールから逃れにくい環境を整えていく、ということが挙げられます。

コントロールされていることがわかっても、「お世話になっているから」「恩があるから」「自分の居場所はここしかない」「ここから脱しても、もっとわるくなるかも」「逃げ出したらどんな恐ろしい目にあわされるんだろう」と、逃げにくい状況を意図的につくっていきます。

最初に何か与える、恩を売る、というのはわかりやすい手口ですね。食事をごちそうしたり、どこか豪華な場所へ連れていったり、普通ではできないような体験をさせたり。

就職活動でも、内定が決まった学生たちに入社前にごちそうしたり、景気のいい時代には、ディズニーランドに連れて行ったり、といった話も聞きます。そういう待遇を受けていると、後から他にもっといい就職先や仕事を見つけたとしても、内定先に就職するのを断るのが心理的に難しくなるというわけです。ぼくも大学生時代、内定をもらった会社に食事に連れていってもらったものです(結局、その会社には就職しませんでしたが…)。

時々、何かモノをプレゼントすると、奇妙な拒否的反応を見せる方がいます。ぼくはこういうコントロール作戦が存在するのを知らなかった頃、贈り物を相手をコントロールする手段として使うという発想が全くなかったのですぐには理解できなかったのですが、そういうことか、とわかりました。プレゼントを素直に喜んで受け取れないのは、その方が誰かにプレゼントするという行為を、相手をコントロールしたりうわてに立ったりする意図でおこなっているため、他に人にもそれを投影するわけです。プレゼントを喜んで受け取れない理由は人や状況によって他にもいろいろあると思いますが、そういう気味の悪い世界ものあるものだと心底驚いたものです。

自分をコントロールするために与えようとしているのだな、と気づいたなら、受け取らないのが無難でしょう。受け取った後に気づいたとしたら、場合によりけりですが、簡単にお返しできるならお返ししてそっと離れるか、自分の能力ではお返しできないようなものを受け取ったとしてもそれはそれで感謝してやはりそっと離れるのが自分のため、相手のため、という場合が多いのではないかと思います。こんなに与えてやったのに、と思われたり言ってきたりするかもしれませんが、お返しする約束で受け取ったわけではなければ、自分の考えや思いを誠心誠意説明し、自分が選びたい道を選び、あとはどう思われようと、何を言われようと気にしないことです。負い目を感じる必要はありません。コントロールしようとして与えてきたものをそうとは知らずに受け取ったのであれば、それは何かを与えられたというよりも、奪う行為(の始まり)を受け取っただけなのだと捉えるのも有効です。誰かをコントロールして何かを与えても効果が出ないこともあるんだ、と相手に気づいてもらうことが、相手へのギフトにもなります。モノのやりとりがからんでくると、厄介なことになりがちです。自分一人では解決するのが難しそうだと思った場合、信頼できる第三者に相談するのも有効でしょう。

相手がコントロールから逃れにくい環境を整えていく手法は他にもいろいろあります。それはまた次回。