除草剤が撒かれた場所は、草が不自然に黄色くなっている |
一番ポピュラーな除草剤「ラウンドアップ」のリーフレットを見てみると、人体には無害と書かれているが、WHOの外部研究機関である国際がん研究機関 は2015年に、ラウンドアップの主成分であるグリホサートは「ヒトに対して恐らく発がん性がある(警告レベル: probably)」と発表している。
グリホサートは、発がん性だけでなく、認知能力や生殖機能、腸内細菌への影響などもさまざまな研究で指摘されている。
人間がどれくらいこれを摂取しているかというと、カリフォルニア大学サンフランシスコ校が2015年に開始した調査によると、米国に住む131人の被験者の93%から検出され(尿検査)、特に子どもに高い濃度が検出された(Glyphosate Found in Urine of 93 Percent of Americans Tested by EcoWatch)。
デンマーク、オランダ、スリランカ、コロンビアなどではグリホサートの使用が既に禁止されており、欧州でも禁止に向けた動きが強まっている(2017年末、もう少しで使用禁止になるところが、ドイツが最終投票で再承認賛成にまわり、使用期限が5年間延期された)。
そんな中、日本は2017年末に、グリホサートの残留基準値に関して、引き上げを決定した(「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について」)。引き下げた品目もあるが、穀物では軒並み大きく引き上げている。
小麦 5.0→30
大麦 20→30
ライ麦 0.2→30
とうもろこし 1.0→5
そば 0.2→30
その他の穀類 20→30
*単位はppm
米(玄米)は0.1で据え置き。主食である米の基準値を低く設定しているのは、グリホサートが本当は危険であることを知っているからだろう。そもそも、ラウンドアップのリーフレットに書かれているように人体に害がないのであれば、基準値を設定する必要すらないはず。
アメリカなどでは、小麦を収穫する少し前にラウンドアップをかける(「プレハーベスト[preharvest]」と呼ばれる)、ということが15年ほど前から一般的に行われているらしい。これによって、収穫を簡単にしたり、収穫期を早めたり、収量を増やしたりできるとのことだが、人間をはじめとする生きものの健康や自然環境が犠牲にされている。グリホサートの残留基準値を引き上げることで、そのようにグリホサート漬けになった小麦がますます流通しやすくなるだろう。日本でも、ラウンドアップの販売会社である日産化学工業が、大豆の収穫前にラウンドアップを撒くようにウェブサイトで勧めている(「効果的な雑草防除 大豆収穫前」)。
そのへんで売っているものを何でも食べていると、間違いなく日々、グリホサートを体内に取り込んでしまう。米国の「The Detox Project」のウェブサイトに、どんな製品からどれくらいグリホサートが検出されたかの一覧があり、日本でもよく見かけるものでは、ケロッグのコーンフレーク、ナビスコのリッツやオレオなどから検出されている。
完全に避けようとして摂取をおそれすぎても気が参ってくるが、ぼくはできる範囲でなるべく避けつつ、あとは健康な生活をして毒素の排出能力を高めていきたいと思っている。オーガニックの食事に2週間切り替えると、体内から農薬のほとんどが排出される、という研究もあり、「もうこれだけ何でも食べてきたのだから今さら…」と諦める必要はなさそう。
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by 硲 允(about me)
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