病院のこと。To go or not to go, that is the question.

ぼくはかつて、病気になっても余程の大病や難病ではないかぎり、病院に行けば何とかしてもらえると思っていたけれど、西洋医学というのは基本的に対症療法で、クスリには副作用や薬害があり、なるべくなら自然治癒力で治したほうが身体に余計なものを入れずに済み、治癒の過程で身体にたまった毒物を排出し、治ったあとはすっきりと回復することを度々体験してからは、余程のことがないかぎり、病院には行かなくなった。

去年はいつぶりか、インフルエンザらしき病気にかかったが、病院には行かず、家で寝て治した。昔はちょっと風邪を引いたら病院のお世話になり、中身のわからないクスリを平気で飲んでいたものだけど、医者や病院に対するそうした盲信ぶりは今考えるとおそろしい。

かといって、「絶対に病院には行くものか」というほど頑なになるのも考えものだと思っている。いざという時にはレントゲンやCTは役立つし、激痛で耐えられないときは痛み止めを飲むこともあるし、すぐに死んでしまうよりは多少の薬害を受け入れる選択をするケースも考えられる。

同じような考えで、病院には絶対に行くものか、という人でも、歯医者だけは行く、という話をよく見聞きする。虫歯は自然治癒ではなかなか難しいし、痛みに耐えられない、ということだろう。砂糖にまみれた現代社会で普通に食事をしていたら、歯の自然治癒どころか、虫歯の進行を止めることも難しい。ぼくは虫歯ができて、歯医者に行って何度も余計に悪化した経験にこり、砂糖を一切とらずに虫歯の悪化をくい止めていたときがあったけれど、限界があった。何軒かの歯科医院に通い、虫歯の治療をしても、よくなるどころか余計に痛くなったり、虫歯菌の退治に失敗して余計に広がったり、痛くなかったところまで余計な治療をして痛み出したり散々で、病院で虫歯を治すことは一旦諦めていたけれど、幸運なことに、虫歯をちゃんと治してくれる歯医者さんに出会い、快適に食事ができるようになった(いまだに砂糖は歯茎が反応するので食べられないけれど)。あのまま自然治癒を目指していたら、痛い歯が増え、虫歯は進行し、もう抜くしかないような歯だらけになっていただろうと思う。歯医者といってもいろいろ。病院といってもいろいろ。病院や医学、立派なお医者さんのありがたさを痛感した。

普段はなるべく自分の健康に留意し、なるべく自然治癒を目指すけれど、これは無理だというときは潔くありがたく、病院やお医者さんのお世話になる、というのが今のところの方針。本来、自分の身体の治療家は自分自身であり、自分の身体そのもののはず。その認識と決意をもつかもたないかで、普段の暮らし自体が変わってくる。