慣行農法を続けてきた畑でいきなり自然栽培は無理がある。今年は植物性堆肥の効果絶大

「自然栽培」というものを初めて知った頃、お店の野菜で「無肥料」が謳われているのを見て、なぜ「肥料」がよくないのかがすぐには理解できなかった。

外から人工的に肥料を入れず、土の力で育てることで、野菜本来の力を発揮させるんだ、というような説明を別の場所で見て、なるほどそういうことか~と思った。

肥料に頼らない「自然栽培」の野菜を食べ始め、野菜本来の美味しさを知った。野菜がこんなに美味しいものだとは、驚きの体験で、そのうち、好きだったお肉よりも野菜のほうが好きになり、気がつけば完全なベジタリアンになっていた。

自然栽培の野菜は、見た目も美しい。肥料を入れ過ぎると、野菜の緑が病的に濃くなるが、自然栽培の野菜の色は淡くてやさしい。大きさも無理のない自然な大きさで、見ていて落ち着く。

うちの畑では、最初から完全な無肥料、無農薬、堆肥も使わず、でチャレンジし続けていたが、長年、化学肥料と農薬を使い続けてこられたであろう畑で、いきなり野菜を自然にほっぽっておいて元気に育てと、いったところで、なかなか無茶な話だということが、小さな畑も合わせれば7年ほどやってみてよくわかった。養分をあまり必要としない豆類や、その土地のその畑の土に合った種類の野菜であれば、いきなり自然栽培でもそれなりに育つが、ナスなど養分をたくさん必要とする野菜は土が育っていないうちにいきなり無肥料では難しい。うちの畑では、大豆、そら豆、人参、大根、子かぶ、きゅうり、などは最初から自然栽培でそこそこ育ったが、ナスやゴーヤは小さくしか実らず、ミニトマトも育ちが小さく(それなりに実るけれど)、たまねぎも小指の先くらいのができた(!)。

生えてきた草は刈って、なるべく畝の上に置くようにしていて、年々、少しずつ積み重なった雑草が堆肥化し、土の中もいろんな草や野菜の根っこによって耕され(人工的には耕していない)、だんだんと土が変化し、育つ野菜が増えてきた。

とはいえ、この変化をもっと加速させないことには、膨大な作業の割に少ししか収穫できず気持ちもめげてくるので、今年は植物性の堆肥を使用した。堆肥を自分でつくる余裕がなかったので、「花の土 カネア」さんの「金のバーク堆肥」を購入し、夏野菜の苗を植え付けるときに使用した(苗づくりには、同じくカネアさんの「金の土」を畑の土に配合した)。すると、去年までと、夏野菜の成長がぜんぜん違う! トマト、ナス、ズッキーニ、きゅうり、ゴーヤ、モロヘイヤ、空芯菜、ツルムラサキなどがどんどん育ち、7月半ばには、毎日食べる野菜を買う必要がなくなった。


堆肥をもっと前から使用してみればよかった、とも思ったが、それまで、市販の堆肥で納得できるものに出会う機会がなかった。「花の土 カネア」さんの「金のバーク堆肥」は、無農薬、100%植物性で、放射能検査もしてくれていて、安心して使える。そんな土屋さんがとなり町の高松市にあったとは!カネアさんに感謝。



今年から生ゴミコンポストを始め、畑で刈った草も積み上げて堆肥化させていて、来年から、自家製の堆肥も試してみる予定。

ナスなどは堆肥だけでは不十分かもしれないと思い、念のため、カネアさんで「金の肥料」も買ってきておいたが、今のところ、バーク堆肥だけで十分、すくすくと育っている。

何年も肥料や堆肥なしでいろんな野菜を育ててみたので、投入した堆肥がどれくらい効いているのかがよくわかる。野菜があまり実らない畑で草刈りばかりしていた時間はムダではなかった。

「草刈り道場」、という感じで、実りの少ない畑で草刈りばかりしているのもそれはそれで楽しかったけれど、行く度にたっぷり収穫できる畑はやっぱり畑らしい。

ちなみに、「自然栽培」や「自然農」などを謳っていても、生産者さんによってけっこう定義がまちまちで、実際のところ、肥料や堆肥の扱いは人によるようだ。基準を明確にしているお店もあるけれど、香川に来てから、「これは自然栽培じゃないやろ~」という野菜でも「自然栽培」と謳われているようなのを何度か目にした。このブログの説明などで「自然農」と書いているけれど、購入した植物性堆肥を使用していれば「自然農」じゃないだろう、と考える人もいるだろう。まぁ、呼び名は何でもいいとして、自分が納得でき、安心して気持ちよく育てられる農法を追求していきたい。


【関連記事】

by 硲 允(about me)