「何か“大きなもの”に任せる」「起こったことはすべて正しい」といった考え方は、ちょっと間違えると自力を放棄することにつながりそうで危なっかしく思うことがある。
「人事を尽くして天命を待つ」、というのはわかるけれど、「自力を放棄して天命に任せる」というのでは、実のところ「天命」ではなく、自力を尽くしている他人の思うままに任せる、ということになりかねない。
自分や自分が所属するグループの得や利益を第一に考える人間というのは、他人を傷つけたり他人の人生を犠牲にしてでも、その目的を達成するために自力を尽くしている。しかも巧妙に。今の世の中では、なるべくその犠牲になることを避けるだけでも、かなりの自力が必要となる。
何か世のため人のためになることがしたいと願うなら、自分の意志を働かせ、思考や言葉や行動によって、現実の世界に働きかけていく必要があると思う。何かにお任せして自分自身の意志を放棄してしまうと、結局、積極的に自分の意志を働かせている人たちの思うほうへ現実の世界は動いていき、それを眺めているだけになってしまう。
「どんな世の中をつくりたいか」「自分が何をしたいか、何を生み出したいか」・・・そういうことをはっきりさせるには、「自然」という大きな存在からインスピレーションを得るのは大事だと思うけれど、それを実現に向かわせるには、やはり自力が必要となる。
「願い」や「祈り」も大事だけど、それがどこから来たものなのかを用心深く把握しておかないと、いつの間にか他人の思考に流されていただけだった、ということになりかねない。その「願い」や「祈り」はどこから来たものなのか。他人によって呼び覚まされたものかもしれないが、自分自身の心はどう感じているか。
「願い」や「祈り」が自分のものであると確信したなら、それを現実化させるためには自力を尽くしていく必要がある。寝転がって考えているだけで現実化させていける人間もいるかもしれないけれど、それは並外れた思考の力をもっている人間だけだろう。そうでないと思うなら、自分のペースで考え、思い描き、言葉にし、一つひとつ、地道に行動を積み重ねていく必要がある。そうやって自力を尽くしてこそ、自力によるものだとは思えないようなことが時に訪れたりするものだと思う。
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