パーマカルチャーセンター上籾(岡山)で自然建築ワークショップに参加してきました。


岡山県久米南町にあるパーマカルチャーセンター上籾で開催された自然建築ワークショップ(Natural Building with Michael G. Smith)に参加してきました。

講師のMichael G. Smithさんのことは、以前、著書の「The Hand-Sculpted House: A Philosophical and Practical Guide to Building a Cob Cottage」という本を読んで知りました。




なるべく自然素材を使った家をできればセルフビルドで建てたいと前々から思っていつつ、どうすればいいのか見当もつかなかったのですが、この本を読んで「これだ!」と思いました。土を積んで壁をつくる「コブハウス」という大昔からの建築を初めて知りました(グーグルで「コブハウス」「cob house」などで検索すると、いろんな写真が出てきます!)。

この本には、コブハウスの哲学や理論に加え、技術的なこともかなり詳しく書かれています。とはいえ、本を読んだだけで自分で建てられるかというと、そう簡単なものではなさそうで、読み進むにつれて自信がなくなってきました…。アメリカなどではよくワークショップが開催されているようで、いつか行ってみたいと夢見ていたところ、Michaelさんが日本に来てくれてワークショップが開催されるということで、それを知ってすぐに参加申し込みしました。

5泊6日のワークショップで、泊まり込みで1週間近くもあるワークショップに参加するのは初めてのことでした。Michaelさんは英語を話すので、通訳付き。日本で開催されるので日本からの参加者が多数かと思いきや、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、米国など、世界各地から自然建築に関心のある参加者が集まり、大半が海外からの参加者で、インターナショナルなワークショップとなりました。

今回は自然素材の壁づくりが主な内容でした。


藁(今回は麦わら)をブロック状に固めたもの(ストローベイル)を積み上げています。この壁は断熱性が高いので、北側に。


稲わらに土を混ぜ、型枠の中に圧縮させながら詰めていくlight straw clayという方法。型枠を外したときに現れる断面が美しいです。


こちらは、パーマカルチャーセンター上籾を始めたカイルさんが考案した軽量籾殻消石灰という、おそらく世界初の工法。農村地域では手に入りやすい籾殻と、ホームセンターで変える消石灰、という身近な材料で効果的な断熱材がつくれる画期的な方法です。

建築現場のすぐそばで採取した粘土に水を混ぜ、ビニールシートの上で素足で練って「コブ」もつくり、基礎と壁の間に使用しました。耐久性のあるコブをつくるには、粘土と砂などの割合を見極めるのが重要になります。


これはいろんな配合でブロックをつくり、その結果を見ているところ。Michaelさんは長年の経験による勘で、ブロックが乾燥する前に適切な割合がわかるようになったそうです。


粘土と砂、砂利、藁などを混ぜた土間もつくりました。これも、適切な配合を見極めるには、経験による勘と施工前のテストが必要となります。

本で読んでいるだけでは遠い世界だったコブハウスの自然建築が、このワークショップに参加することで、だいぶ身近な存在となりました。野菜やお米づくりもそうでしたが、自然素材相手の仕事は、実際にやってみると、案外、途方もなく難しいものではなく、祖先から譲り受けた記憶があるのか(!?)、懐かしい感じがしてくることがよくあります。いざやってみると、前からやっていたような…という。

今回学んだことは、今住んでいる古民家の改修にも生かせそうです。いずれはもっと山の中で暮らしたいと思っていますが、今の場所でいろいろと練習してできることを増やしておきたいと思っています。

今回のワークショップでは、世界各地から集まった参加者の皆さんと一緒に作業し、交流できたのも、貴重な経験でした。宿泊先のゲストハウスで毎晩のように夜中まで話し込み、「1週間前まではお互いが存在していることすらしらなかったのに、今では昔からの友だちみたいだね」って…。外でみんなでお昼ごはんを食べているとき、ある方が、空を見ながら、「この空の向こうで今戦争が起きているとは思えないね」と言いました。世界中に友だちがいれば、戦争をしようなんて思わなくなるんじゃないかと思います。粘土、砂、木、竹、藁…自然が生み出した素材に触れ、毎日泥まみれになりながら、人間と人間が交わる妙味に心あたたまる日々でした。言葉がわからなくても伝わることも多いですが、具体的な情報を伝え合うには言葉は有益で、英語の勉強をしてきてよかったなぁと、かつてなく実感しました。英語をもっと自由に使えるようになりたい、と気合が入ったのもよかったです。


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by 硲 允(about me)