最近金沢に行ったとき、「いしり」という調味料を見つけた。お店のおばちゃんによると、能登の魚醤で、イカの内臓を塩に漬けて発酵させたものだという。
「貝焼き」という料理があり、ホタテなどの貝殻の上に野菜や魚介類を乗せ、いしりをかけて焼いて食べるのだという。お鍋や煮物に入れても美味しいとのこと。イカの風味がちょっとするので、イカが嫌いな人は苦手かも、と丁寧に教えてくださった。
旅行に出掛けたときは、その土地ならではのものを買いたい。これはまさにそういうものだと思った。
上の写真のように、いつもの野菜スープに入れてみた。イカの風味がもっとガツンとくる感じかと予想していたが、野菜の旨味の中に「いしり」の風味が溶け込んであまりわからなくなった。それがわるいと言うわけではなく、いろいろな野菜を煮込んだ複雑な旨味と「いしり」に共通するところがあり、野菜をじっくり煮る時間がないときに「いしり」を隠し味で入れると味に深みがでるように思った。
塩分が思ったよりも控えめで、wikipediaの情報によると、イカの内臓に対して18%だという(商品によって違うかもしれないが)。
「いしり」という名前の由来が気になったが、これもWikipediaに書かれていた。昔、魚のことを「い」や「いお」と呼んでいて、その「汁(しる)」であることから転じて「いしり」や「いしる」と呼ばれるようになったといわれている。
能登の富山湾に面した内浦地区ではイカの内臓を使用するが、日本海側の外浦地区ではイワシやサバを原料とし、前者は「いしり」、後者は「いしる」と呼び分けられているらしい。
料理人の道場六三郎氏が、こちらのページで「いしり」の食べ方をいろいろ紹介されていて、焼きそばとも合うとのこと。
卵焼きにちょっと入れても美味しかった。
ちなみに、「日本三大魚醤」と言われるのが、この「いしり」と、秋田の「しょっつる」と、香川の「いかなご醤油」とのこと。香川にいながら「いかなご醤油」を食べたことがないなぁと思って、相方に聞いてみたら、「くぼさんの豆腐」で買ったまま開けるのがもったいなくてしまっていた淡路島産の「いかなご醤油」を出してきてくれた!
現地で買うのがうれしいけれど、amazonでもよさそうな「いしり」があった。
by 硲 允(about me)
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