江戸時代の農具「千歯扱き」でお米を脱穀。コツがわかってきた。


庭で天日干ししているお米を、少しずつ脱穀中。


使う道具は、江戸時代に生まれた「千歯扱き(せんばこき)」。


鉄の歯の間に稲の束を上から挟んで引っ張ると、穂のお米がばらばらになる(脱穀という)。こんな昔の道具をどこで手に入れたかというと、ヤフオクで落札した。出品者さんは、まさか実際に使用するとは思っていなかったらしく、使うつもりで落札したと伝えるとびっくりされていた。

この道具を手に入れるまでは、手で一つずつばらしたり、ボールとザルで挟んでみたりしていたが、時間がかかりすぎた。コンバインを一度使うと、もうこんな遅々とした作業はできなくなりそうだけど、ぼくは道具無しからスタートしているので、千歯扱きのスピードでもありがたく感じられる。とはいえ、庭にずっと干しっぱなしのお米を鳩さんがつつき始めて、早くしないとと、ちょっと焦っている…。「鳩さん、お米は食べたらあかんよ~」と話しかけてみたら、「あっ、すんまへん!」という感じで逃げて行ったが、その数分後にはまた戻ってきてむしゃむしゃしていた。


千歯扱きで脱穀したお米から細かい藁を取り除くのがまた一苦労。手でちょっとずつ取り除いていく。



こんなふうに、穂が完全にばらけていないことも多く、指先でもみほぐす必要がある。

しばらく続けていると、一度に脱穀する束を少なめにして、穂の位置を揃えたほうが効率がいいことが分かった。


これくらいの量。束が大きすぎると、中のほうの穂がなかなか歯に当たらないし、穂が手に近いところにあると、脱穀しづらい。千歯扱きで何度も引っ張っても、穂がちょうどよく当たっていなければ意味がない。結局、脱穀し残した穂だけを一本ずつ、歯に挟んで脱穀する必要がある。それなら、最初に少し時間がかかったとしても、穂の位置を揃え、千歯扱きで引っ張る度に確実に脱穀できるようにしておいたほうが、無駄がない。

細かい藁を取り除く係をしてくれていた相方にそのことを伝えると、見ていてそうだと思っていたが、ぼくは自分で気づくまで言われても納得しないので、言わずに我慢していたらしい。「それは子育てで大事なことやね! こうしたらいいって何でも教えたら、自分で考えんくなる!」と、ぼくはなぜか他人事。

2時間半くらい続け、脱穀した後の藁は一輪車に乗せて田んぼに返しに行った。藁はそのうち分解され、次の稲の養分になる。

庭に戻ると、相方がまだ、藁くずを取り除く作業をしてくれていた。ぼくも一緒にする。千歯扱きと一緒についてきたふるいを使うと予想以上にうまくいった。日が傾いたと思ったら、あっという間に暗くなり、真っ暗になる前になんとか作業完了。今年のお米を食べるところまではなかなか行かないが、何とか先が見えてきた。


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by 硲 允(about me)
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