和歌山で生まれ育ったぼくは、りんごが成っている木を見たことがない。スーパーに行けば、いつでもりんごが置いてあるので、りんごの旬というのも知らなかったし、自分で畑を始める頃まで興味もなかった。りんごを収穫できる時期は、品種にもよるけれど、だいたい夏の終わりから秋ごろらしい。
東京のアパートでは、新鮮なりんごが届いてもなぜか1週間くらいでモサモサになってしまったが(部屋が乾燥し過ぎていたのだろうか)、今住んでいる古民家では、冬中、鮮度がなかなか落ちない。とはいえ春になってあたたかくなると、さすがに鮮度が落ちてしまったので、相方がコンポートにしてくれた。
りんごを剥いて包丁で切って、水、塩、レモン汁、それから酒粕を入れて煮る(酒粕は醸造アルコールが入っていない純粋なものがオススメ)。シナモンパウダーを振って完成。
酒粕がりんごの風味と見事に融合し、味に深みとまろやかさを出してくれている。
「『酒粕おやつ』に載ってたん?」ときいたが、そうではなく、どこかで見かけたレシピらしい。この本も、美味しそうなのがいろいろ載っていて(酒粕ベイクドケーキ、酒まんじゅう、酒粕酵母の鍋焼きパンなど)、酒粕おやつのバリエーションが広がる。
りんごのコンポートに使った酒粕は、千葉の自然酒蔵元「寺田本家」のもの。寺田本家では毎年、田植え会や稲刈り会を開催していて、東京にいた頃はよく行っていた。寺田本家のおかげで、日本酒の本当の美味しさを知った。
寺田本家の23代目当主、寺田啓佐さんが書かれたこちらの本もオススメ。
発酵道―酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方
これを読むと、本物の日本酒というのがどういうものなのか見えてくるし、「発酵」の世界に興味がわき、人間の生き方についても考えさせられる。いろんな人に勧めたくなる本で、今まで買った本を2冊プレゼントし、手元に置いておきたいのでもう1冊買った。
りんごの酒粕コンポートは、美味しすぎて一気に食べてしまった。料理というのは不思議なものだと思う。古くなったりんごをそのまま食べ、酒粕を単体で食べ、塩とレモン汁をそのまま舐めるとしょっぱくなり酸っぱくなり、大変な目にあうが、ちょうどいい分量ずつ混ぜて適切に料理すると舌が喜ぶようになる。不自然なものを食べ過ぎて舌が麻痺してしまっていない場合、舌が喜ぶ場合は身体全体が喜ぶことが多いのではないかと思う(食べていいものかどうか、身体の入口にある舌が判断しているのではないか)。
りんごコンポートの汁は、そのまま飲んでも美味しいが、寒天で固めてゼリーにして楽しんだ。
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by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto)
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りんごを剥いて包丁で切って、水、塩、レモン汁、それから酒粕を入れて煮る(酒粕は醸造アルコールが入っていない純粋なものがオススメ)。シナモンパウダーを振って完成。
酒粕がりんごの風味と見事に融合し、味に深みとまろやかさを出してくれている。
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りんごコンポートの汁は、そのまま飲んでも美味しいが、寒天で固めてゼリーにして楽しんだ。
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