タヒ・エステートの「フォレストハニー」。ハチに砂糖を与えたり蜜を加熱処理していないハチミツ

旅行に行ったとき、京都で見つけて買ってきた、Tahi Estate(タヒ・エステート)の「フォレストハニー」。



ハチミツというと、自然につくられたものだというイメージが子どもの頃からあったが、そうとは限らない。しかし、このハチミツは信頼できそうだと思って買ってきた。

まず気になるのは、そのハチたちがどんな環境で生きているか。「フォレストハニー」のハチミツを集めているハチたちが暮らしているニュージーランドのタヒ(Tahi)という場所は、以前は荒廃した牧場で、湿地が失われ、その土地固有の動植物も姿を消していたらしい。ところが、タヒ・エステートがハチの住みやすい環境を整え、徐々に生態系が回復していったという。今では、失われた湿地のうち14か所が回復し、固有種の樹木が234,000本も植樹され、63種の鳥が棲息しているらしい。

フォレストハニーの容器に、クジャクバトやモリバト、テュイ(スズメ目)など、いろんな鳥が描かれていて、同じ「ハト」でも日本のハトとはずいぶん違って面白い。

ハチたちがどんな花から蜜を集めているかというと、プリリ、トウワイ、ポフツカワ、マヌカ、レワレワの木、ハラケケ・ファラリキなど、、ニュージーランド固有の草木(マヌカハニーのマヌカは有名だけど、他は聞いたことがなかった)。

一般的には、ハチにエサとして砂糖水を与えるようだけど(参照:みつばち協議会の養蜂マニュアル)、タヒ・エステートでは、ハチが自分たちで集めた蜜で生きていけるように、ハチが食べる分の蜜を巣箱に残し、砂糖水は与えていないらしい(ハチに砂糖を与える話を初めて聞いたときは驚いた。せっかく集めてきた蜜を全部奪い取って、代わりに不健康そうな砂糖水で我慢しろ、というのは残酷に思える)。ぼくは砂糖を食べると歯茎が腫れてくるので、ハチに砂糖を与えているかどうかをなるべく確認するようにしている(安物のハチミツを食べると歯茎が反応することがあり、製品のハチミツに砂糖が混ざることがもしかするとあるのかもしれない)。

蜂蜜が固まらないように、ミツバチは巣の中を37~38℃くらいに温めているらしい(どうやってるんだろう!?)。通常、短時間で大量のはちみつをろ過するために巣内の2倍くらいの温度でハチミツを加熱処理していることが多いというが、高温処理すると、ハチミツに含まれるミネラルやビタミンが破壊されてしまうらしい。そこで、タヒ・エステートでは、自然の状態の温度でゆっくりと濾過し、酵素やミネラル、ビタミンを保つようにしているという。

ぼくは花粉がたくさん入ってちょっとザラザラしたようなハチミツが好きで、このハチミツもろ過する際に目の粗いフィルターを使用していて、花粉がたくさん含まれている。

タヒで認可をうけている養蜂家、ジョン・クレイグさんは、「タヒはちみつは、単なるはちみつじゃない」と語る(引用元のページ)。

タヒはちみつは生態系(自然環境の相互関係)の一部であり、癒しであり、情熱だ。健康にも環境にも地域にも、そしてみつばちにとっても正しい選択なのだ。
私たちは環境『全体』、この地球、人類とその生産性を考慮している。環境保全・地域コミュニティ・経済を一体とすることを第一の理念とし、この三つのうちのどれかのために別の要素を犠牲にすることは決してない。ここの土地に対する後見責任、マオリ語で言うカイティアキタンガkaitiakitanga があると確信している。

商品の裏側にあるストーリーや想いを知ると、味わいが違ってくる。甘みが強く、深みと複雑さのあるハチミツだった。




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by 硲 允(about me)
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