農具などを入れている倉庫の屋根のトタンが破れてしまった。数か所から雨漏りしているので直さないと、と思っていたら、強風で本格的に破壊されて雨が入り放題になり、急きょ、張り替えることに。やったことがないのでどうやって修理するのか知らないけれど、見ればわかるだろう、と思い、とりあえず剥がしてみた。
もう寿命だったようで、簡単に割れる。専用の留め具で固定していることがわかり、これならできそうだと判断。
バリバリとトタンを剥がしていたら、アシナガバチが警戒した様子で飛んできた。どうしたことかと思って見ると、まだ小さいが倉庫の中に巣をつくり始めていた。ハチは煙を嫌う。真下で蚊取り線香を焚いておくと、新しいトタンを買いに行っている間に巣から離れていたので作業を再開できた。
一概にトタンと言っても、ホームセンターに行くと何種類もあって迷った。
塩ビ、塩ビ(ガラスネット入り)、ポリカーボネート樹脂、トタン、ガルバリウムなどのラインナップ。値段はものによって2~3倍は違い、寿命も2~3年から10年と幅がある。
サイズは尺単位で揃っていて、倉庫の屋根の幅は8尺ちょうどだった。
「トタン初心者」なので、いきなり高いものを買って張るときに失敗したら悲しいし、強度の高いタイプは硬くて穴をあけたりするのが大変そうだと思い、一番安い「塩ビ」を選んだ。寿命は2~3年と書かれているが、もっともちそうな気もした。
波になったこういう板を全部「トタン」と呼んでいたが、「トタン」というのは広辞苑によると「亜鉛でめっきした薄い鉄板」のことで、ぼくが買ったのはトタンではないらしい。素材によらず、波の形状になったこういう板全般を「波板」と呼ぶようだ。
波板を設置する専用の「ポリカフック」という部品と、これを波板に通す穴をあける専用のキリも買ってきた。なるべく道具は増やしたくないので、普通のキリを使おうか少し迷ったが、波状に膨らんだ板の正確な位置に高所で穴をあけるのは難しそうだったので、専用の道具に頼ることにした。
波の形状にフィットさせ、キリの先をねじ込む仕組みになっている。
もともと屋根に付いていたのは金属のフックだったが、最近はプラスチックが主流らしく、近所のホームセンターではプラスチックのものしか売っていなかった。金属のフックは長年の風雨に当たって錆びて形が変わり、ネジも回らなくなってしまっていた。買ってきたポリカフックは、波板と接触する部分にスポンジ状のものが付いていて、雨水が入りにくいようになっている。
結局、専用の穴あけ道具を買ってきて正解だった。場所によってはずいぶん不安定な大勢で穴をあける必要があり、位置を定めやすい道具があって助けられた。
もっと時間がかかると予想していたけれど、半日で張り終えた。新しい波板で光がよく入るようになり、倉庫の中が明るくなった。
上から見た様子。左右の端のトタンは割れていなかったので、それは交換せず、左右の端から順に張っていった。カーポートを利用した屋根の上は乗れるほどの強度がなく、真ん中の波板は手が届かなくて、一部、留め具が付けられなかったので、下から防水の布テープで固定した。
波板というのは、上手いこと考えたなぁ、と修理して思った。カーポートの屋根がちょうど8尺だったように、波板を設置するようなところは尺単位でぴったりにつくり、サイズを合わせて寸断しなくても市販の波板をそのまま張れるようにしてあるのだろう。屋根の場合、留め具の下に樋が来るように設計し、雨漏りしないように工夫されている。専用の留め具で簡単に固定でき、素人でも簡単に交換できる。修理しながら、そうした工夫に何度も「なるほどー」と思わされた。
それにしても、寿命が来た波板は膨大なゴミになる。
前に買ってあった金切り鋏が初めて活躍した。
大量に使われ、数年で寿命が来てしまう波板…。世界中で毎日、山のような波板ゴミが出ていることだろう。
今回は緊急だったので仕方なく波板のお世話になったが、できれば竹など、自然素材で屋根をつくりたい。竹の屋根はどれくらいで寿命が来るのか知らないけれど、使い終えたあとも埋め立てゴミになることがなく、燃やして燃料にできる。
そのうち、土と木を主に使って自分で家を建てたいと思っている。波板の修理はいい勉強になった。
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