ヤマト運輸によるAmazonの当日配達撤退のニュースに思うこと。



Amazonの即日配達は、無料のお試しで一回使ったような記憶があるが、プライム会員になってまで即日配達をお願いしようとは思わない。

即日配達のサービスが始まったとき、注文したその日に届くとは、一体どうなっているのだろうと疑問に思った。倉庫の管理や運送の仕事をする人たちにずいぶん負担がかかっているのではないかという気がした。そこまでしてすぐに届けてもらう必要のあるものを買う機会はほとんどない。そんなに急ぐときは、自分の足を使って買いに行く。

最近、ヤマト運輸がアマゾンの即日配達を段階的にやめるというニュースを目にした。配達スタッフに負担がかかり過ぎているという。スタッフに負担を押しつければ儲けの面ではわるくない業務なのかもしれないけれど、やめにするというのは思い切った決断だと思った。アマゾン側ともだいぶもめたのではないかと想像した(段階的に中止、というのは、すぐにやめられてはAmazonとしても困るのだろう)。

「ブラック企業」の実態が知れ渡ってきた昨今、企業も働く社員の健康や幸せを本気で考えなければ存続できない時代になってきたのかもしれない。社員に負担を押しつけて「ブラック企業」の烙印を押されては、サービスや商品の評価が下がり、優秀で意欲のある社員を確保しずらくなる。

宅配業者といえば、佐川急便は一人の配達員が受け持つエリアがヤマト運輸に比べて広すぎるという話を時々聞く。うちに届けてくれる方たちを見る限り、ヤマトは楽しそうな方が多いけれど、佐川は疲弊してそうな方が多いので、その話は本当のように思える。東京の府中のアパートで暮らしていた頃、一日中家にいたのに、夜中に佐川急便の不在票がポストに入れられていることが何度もあった。エリアが広すぎる話を聞いていたので、お届け指定日に届けてまわることが物理的に不可能なのだろうと思った。苦情を言おうかと思ったが、本社はそんなことはわかりきっていて、配達員が責められて終わり、ということになりそうな気がしてやめておいた。

ヤマト運輸と佐川急便には個人的にそういう印象をもっているので、自分が荷物を送るときには佐川急便のお世話になったことがない。値段に少し差があったとしても、社員が楽しそうに働いている会社のお世話になりたい。食べ物や生活雑貨などの商品にしても、それを生み出すために関わっている人が楽しく仕事ができていて、応援したいと思う作り手や売り手から買いたい。そういう人が増えてきているのではないかと思う(身のまわりでは増えてきている)。

安ければ買ってもらえる(使ってもらえる)という時代は終わりに近づきつつあるのではないか。つくり手や売り手のことを考慮せず、とにかく安く売れるようにできればいい、という考えを肯定すると、安い賃金で長時間労働をさせられたり、粗悪品をつかまされたり、結局自分にもそのツケが回ってくる。

ものやサービスは最小限でいい。心から納得のいくものだけをつくり、本当に必要で長く愛用できるものだけを買い、ものやサービスの背後にある見知らぬ人たちの気持ちを思いやることができれば、みんながもっと幸せで楽しい世の中になるのではないかと思う。


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by 硲 允(about me)
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