この春はカラスノエンドウをずいぶん食べた。
庭や畑のあちこちで育っているカラスノエンドウ。若葉の柔らかい葉先を生で食べられると相方から聞き、食べてみると豆の風味がした。苦手な人もいるかもしれないけれど、ぼくにはクセになる風味。花や若い莢も食べられる。
他の野草や野菜と一緒にサラダにしたり、炒めても美味しい。
野草はものによっては「しゅう酸」がたくさん含まれていて食べ過ぎると結石の心配があったりもするけれど、カラスノエンドウは酸味もなく(「しゅう酸」が含まれていると酸っぱいらしい)、ぼくの感覚ではたくさん食べても大丈夫そう。
そんな話を相方としていたら、「豆みょうやん!」と相方。
「文鳥さんと一緒やん!」と言って笑った。
和歌山の実家で文鳥を飼っていて、エサに「豆みょう」を食べさせている。冷蔵庫には、いつも文鳥さんのための「豆みょう」が入っている。その「豆みょう」が何の種類の豆なのかは知らないけれど、言われてみると、文鳥さんたちと同じものを食べていたことを知って面白かった。
二羽いる文鳥さんのうちの一羽は、「豆みょう」の茎が好みで茎ばかり食べ、もう一羽は葉っぱが好きで葉っぱばかり食べる。
鳥や動物たちは、自分の身体に必要なものをよくわかっているように見える。人工的世界にならされてきた人間は、自分の身体に必要な食べ物を感じとる感覚が麻痺してしまい、「この食べ物に含まれているこの栄養素が何々に効く」というのを聞いては、一斉に買いに走る。
自分が必要としている食べ物を感じ取る感覚が衰えてしまったからには、誰かが与えてくれる知識を活用していくことも必要だけど、自分の感覚を取り戻していくことが、本当に必要な食べ物を見分け、味わい分けるための一番確かな方法だと思う。
そのために、いろんな野草を食べてみることが有効かもしれない。どんな野草をどうやって食べるかは、本やウェブサイトにいろんな情報があるが、どんな人がどんなときにどれだけ食べたらいいか、というような情報はあまりない。日常的に食べている人の実体験による情報も少ない。だからこそ、自分の身体で試していく面白さがある(毒のある草など、最低限の知識には頼らないと危険だけど)。
野草を毎日食べ始めて、ある日、野菜と玄米だけで過ごしたら、なんだかもの足りない感じがして、カラスノエンドウが無性に食べたくなった。いろんな野草を少しずつ摘んでサラダにし、それと玄米があれば身体も心も満足する。
ちなみに、そんな話をすると「お肉を食べなくて元気がでるの?」と疑問に思われることが多いけれど、ぼくはお肉ばかり食べていた頃は元気などころか常に体調がわるかった。日本人が動物のお肉を日常的に食べ始めたのは戦後のことで、それまではみんなお肉なしで生きていたはずだけど、みんな元気が出なかったとは思えない。「お肉を食べないと元気がでない」かどうかは、自分の身体で実験してみるのが一番手っとり早い。一週間、お肉の代わりに野草を食べたらどうなるか、試してみたら面白いかも。
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