お店での「スモールトーク」について。人間関係は「スモールトーク」から始まる

ジャパンタイムズ(The Japan Times)が発行している英語学習紙「週刊ST」で、「スモールトーク」に関するコラムを読んだ(和訳はここから無料で読める)。マレーシアで生まれ、シンガポールで育った著者は、日本に来てから、お店で店員さんとの「スモールトーク」(世間話、おしゃべり)が少なくて寂しく感じたという。

 この著者が日本のどこで暮らされていたのかはわからないが、日本国内でも、場所によって「スモールトーク」のスタイルや頻度が異なる。

東京にいた頃も、しょっちゅう行くお店の店員さんとは仲良くなって、スモールトークどころか長々と「ビッグトーク」をしに遊びに行っていたが、3年半前に東京から香川に移住してからは、お店で店員さんに話し掛けられることが増えたように思う。

大手ではない地元のホームセンターで、相方が溶接のお面(鉄でできて目のところがガラスになっているやつ)を見つけて面白がってぼくに見せていると、お店のおばちゃんが「溶接のお面かい? 他のことには使えんで~」とつっこみを入れてきて面白かった。

近所の産直で、「幸せを呼ぶ鳥」と言われるアローカナの卵を相方がレジに持っていくと、レジの店員さんに「アローカナがあってよかったねー」と言われたのも妙に記憶に残っている。アローカナの卵をたまたま見つけて買ったのではなく、欲しいと思ってやって来たことを店員さんはなぜか知っていた。

「目は口程に物を言う」という言い回しがあるように、「スモールトーク」と言っても、口で話さずに表情で「語る」場合もある。ランチで高松のとあるラーメン屋さんに行き、夜にも再び同じお店に行くと、店員さんがめちゃくちゃ面白そうな顔をして、言葉には出さなかったが「またっすか!お昼も来てくれましたよねー!?」と表情で語りかけてくれた。知らないふりをするお店も多いだろうし、それもお客さんを気まずくさせない配慮だと思うけれど、驚きを顔いっぱいに表現してくれるのもうれしい。

ブログで紹介するためにお店で写真を撮らせてもらうときは、店員さんに許可を得ることが多いので、それをきっかけにスモールトークが始まることもある。香川は日本一狭い県ということもあり、ブログを毎日書いていると、読んでくれている方も時々いて、ポイントカードを作るときに名前を書くと「あ!ブログ読んでます」と言われて話が始まったこともあった。

レジで金額を言われてお金を支払うだけだと、そのうち全部セルフレジでいいのではないか、という話も出てきそうだけど、セルフレジがいくら発達してスピーディに買い物できるようになったとしても、店員さんとの人間的交流を求める客がいる限り、全部ロボット化されることはないだろう。

一度スモールトークをすれば少し心の距離が縮まり、 三度スモールトークをすれば知り合いになり、気が合えば、友だちになれるかもしれない。人間関係はスモールトークから始まることが多い。なかなか難しいけれど、誰とでもスモールトークを楽しめるようになりたいものだと思う。


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by 硲 允(about me)
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