先日、『WEED THE PEOPLE【ウィード・ザ・ピープル】大麻草が救う命の物語』というドキュメンタリー映画を「アスティとくしま」(徳島県山城町)で観てきました。
大麻というと、日本では大麻禁止法によって、その使用や研究も禁じられています。一方で、最近では日本でも「医療大麻」という言葉を時々見聞きするようになりましたが、オランダ、ベルギー、イタリア、ドイツ、イギリス、スペイン、ポルトガル、アメリカの33州と首都ワシントンDCなどでは、医療大麻の使用が法律で認められているそうです。
日本では大麻というと、摂取すると頭がおかしくなる危険な毒物で、時々著名人がこっそり使用していて逮捕される、といったあぶないイメージばかりが浸透しているので、「医療大麻」と言われても???という感じになりますが、医療大麻はがんの化学療法に伴う吐き気を抑える効果があることが1970年代から知られ、近年の研究ではがんの治療そのものにも効果がある可能性が示されているそうです。
大麻草の主要な薬理成分であるTHCやCBDには、試験管内でがん細胞をアポトーシス(細胞死)に誘導する作用があり、腫瘍を縮小させるといった多くの症例報告も寄せられているそうです。
そうした医療現場の最前線を取材し、専門家らの意見も紹介しつつ、医療大麻によるがん治療の現場をレポートし、その効果や医療産業の現状を世に問うているのがこちらの映画。
医療大麻が合法化されているアメリカの州においても、がん治療でその恩恵を受けるのは簡単ではないようです。大麻草(カンナビス)からつくられたオイルの商品には、粗悪品もおおいようで、ほとんどが食用にもならないアルコールでほんの少しカンナビスオイルが入ったようなものが高額で販売されています。どんなオイルをどのくらい、どういうタイミングで摂取すればいいのかは、素人には判断が難しいところで、正確な知識や豊富な経験、熱意のある専門家と出会えるかどうかという問題もあります。費用も大問題で、がん治療で用いるには毎月数十万円かかるようです。
日本に住んでいる人が、医療大麻による治療を受けようと思えば、渡航費、滞在費などもかかり、さらに高額医療となり、かなりのお金持ちでなければ難しいのが現状です。
この映画では、医療大麻の使用によって、がんを克服する子どもたちも登場します。これほどはっきりとした効果が出るとは、驚きでした。その効果を目の当たりにして、病院を辞めて医療大麻の道に進む医師の姿も描かれていました。
当面、医療大麻は自分や自分の周りでは必要なさそうだと思っても、一見の価値ありの映画だと思います。
「WEED THE PEOPLE」(日本語版)の自主上映会の情報については、こちらのウェブサイトで一覧にしてくれています。
by 硲 允(about me)