『大人問題』(五味太郎 著)を読んで。学生の頃に読みたかったなぁ

絵本作家として知られている五味太郎さんの『大人問題』という本を読みました。



小学生の頃にこの本を読んでいれば、もっと早く「大人問題」に気づいたのになぁ。

ぼくは学生の頃、随分従順で、大人に問題があるというようなことはほとんど考えもせず、大人がつくってきたシステムの中でそれなりに呑気に、それなりに退屈しながら、それなりに少しは努力もして、いつの間にか「大人」に区分けされる年齢になりましたが、今振り返ると、大人に怒られない、大人に気に入られる枠内に無意識のうちにはまろうとしてきたおかげで、自分の中にあるものを充分に発揮できずにきた弊害を感じることがあります。

今、学生時代にタイプスリップしたら、学校に毎日通うというのはかなりしんどいなぁと思います。五味太郎さんはこう言い切っています。

この世からもし「いじめ」というものをなくしたいと思うなら、まず今の学校システムをなくせばいいと思っています。つまり、学校にいじめがあるのではなくて、学校という構造がそもそもいじめなのだと思います。(p. 62)

幸い、まともな先生もいましたが、今思うと先生になるべきではないような人も先生をやっていて、よくあんな先生の行くことをまともに聞いていたなぁという感じですが、当時は従順過ぎて、先生の人格を疑うなんてことはつゆ知らず。

ぼくは従順が幸いして、学校時代をそれほど苦もなく乗り越えてきましたが、エネルギーがあり余っていたり、自分というものをある程度確立している人は、学校時代をサバイブするのが本当に大変だろうなぁと思います。そういう人にもこの本はオススメ。ますます「大人問題」に目覚めて、大人たちがつくり上げたシステムにお付き合いするのがますますバカらしくなるでしょう。

学生時代のぼくのように、「大人問題」に目覚めていない人にもオススメです。対立していくエネルギーがなくても、従順に見せかけながら自分の道を見つけ出そうとする意思はなるべく早く生まれて損はないと思います。

とにかく読んでいて面白可笑しい本ですが、大人問題に向き合いたくなかったり、大人問題を認めたくない大人は、途中で読み進めることができなくなるようです(レビューを見ていると)。




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by 硲 允(about me)