お知らせがずいぶん遅くなってしまいましたが、翻訳で関わらせてもらった本のご紹介です。
和歌山を拠点にする出版レーベル、道音舎から2021年2月3日に発売された写真集「水辺の人」(松原時夫)。
道音舎のウェブサイトから紹介文を引用させていただきます。
松原時夫は1940年、和歌山県北部の和歌浦で生まれた。そこは万葉集に詠まれた和歌の聖地で、古代人の美意識が残り香のように漂う町だ。その心性に共鳴するような彼の写真作品は、独自の芸術性を拡張しながら現在も多様な展開を続けている。『水辺の人』は和歌浦、田ノ浦、雑賀崎の人物(1955〜1969年)を捉えた作品で構成したもので、写真家・松原時夫の原点というべき写真集である。
巻末の小さな文章と、付属する小冊子の中のサイモン・ワーンさんの寄稿の英訳を担当させていただきました。
ぼくは和歌山の街で育ちましたが、和歌山の水辺のかつての風景はとても興味深いです。っ撮影に余計な思惑が入っていないためか、写真を見ていると、その風景の中に自分もすっと入っていくというか、その風景を自分の目で見ているような感覚になります。ぼくはこの地、この時に生きる人々の暮らしのあり方や、身体の使い方、服装などに目が行きます。身体をめいっぱい使って暮らしていた人々の逞しさ、力強さを感じさせられます。
限定300部で、出版レーベルの在庫はすでに品切れだそうですが、お取り扱い書店の中にはまだ残っているところもあるようです。
本のつくりや印刷もこだわり抜いており、ぜひお手に取っていただきたい一冊です。