先日、カホンという箱型の打楽器を手作りした。
相方は叩きながら歌うのが苦手で、「よくギター弾きながら歌えるね」とぼくに言う。
ギターを始めたばかりの頃は、ギターをジャカジャカとストロークするリズムに歌がつれたこともあったような気がするけれど、ギターを弾き慣れてくると、手の動きに歌が引きずられることはなくなっていく。
同時通訳という作業に連想が飛んだ。同時通訳では、耳で話を聞きながら、頭の中で言語を訳して、訳した言葉を口で出して、ということを同時に行う。人間がそういう作業を行う際、高速で注意を向けるところを切り替えている、というような研究を何かでよんだ覚えがある。
とすると、ギターを弾きながら歌う場合、歌に100%、ギターに100%の注意を向けるのは難しいのかもしれない楽器と歌の場合は、同時通訳とは違って、高速で注意を切り替えている感じはしないけれど)。相方にそんなことを話すと、人間はロボットじゃないのだから、一度にどれも100%でできるはずだと言う。
そう言われてみるとそうかもしれないと思った。脳のメモリーには限りがあって、何かを同時にしようと思ったらそれぞれの処理能力が落ちる、というのは人間を解明しきれていない科学的理論だという気もした。そういうことはコンピュータには当てはまるかもしれないけれど、人間にはそれ以上の能力があると思いたい。ギターで弾き語る場合、ギターも歌も100%の力でできるどころか、相乗効果があって、どっちも100%以上になる可能性だってある。実際、歌だけよりも、ギターだけよりも、両方一緒に奏でたほうがノってくる。
人間の能力は科学では解明しきられていないし、無限の可能性を秘めているはず。何事もできないと思うより、できるに違いないと思ったほうが、ワクワクしてきて本当にできるようになるかもしれない。
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by 硲 允(about me)
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