GMなたね自生調査の結果に驚く。アブラナ科の野菜と交雑するおそれも



一般的なスーパーで販売されている野菜は、たいていF1種(農業の工業化や効率アップのために、求める形質をもった異品種同士をかけ合わせた品種)だけど、最近は時々、固定種・在来種(その土地で種を採り継がれてきた品種)の野菜を見掛けることも増えてきた。


とはいえ、普段食べる野菜をお店で買う場合、固定種・在来種だけで食卓を賑わすのはほとんど不可能なくらい、まだ少数派。そうしたいなら、固定種・在来種の野菜を主に育てている農家さんを探して宅配してもらうのがいいかもしれない。

あるいは、自分で育てる。ぼくは固定種の野菜の種を、「たねの森」「野口種苗研究所(野口のタネ)」「畑懐(はふう)」などから届けてもらっている。ホームセンターでも、探せばある(値札のところに小さく「固定」と書かれていたりする)。

固定種・在来種の種を手に入れて自分で育て、実らせてその種を自分でとり継いでいけば種についてはもう心配ない、と思いたいところだけど、自分の畑で育った野菜が知らないうちに遺伝子組み換えの品種と交雑している可能性もなくはない。

コープ自然派のカタログ(ポスティ 2017. 25号)に、GM(遺伝子組み換え)ナタネ自生調査の結果が載っていた。それによると、毎年GMなたねがたくさん自生している三重県国道23号線沿いで、6,200本のなたねを抜き取って調べたところ、GM率が約60%にも上ったとのこと。

日本ではGM作物の商業的な栽培はしていないけれど(実験での栽培はされている)、遺伝子組み換えのなたねを輸入し、製油の原料や飼料として輸送される途中でこぼれ落ちているらしい。アブラナ科の植物は、交雑しやすい。あいち生協によると、遺伝子組み換えなたねとブロッコリーやカラシナ、雑草との交雑が見られるという。放置しておくと、遺伝子組み換え品種が広がっていってしまうおそれがあるので、遺伝子組換え食品を考える中部の会が主催する「遺伝子組換え(GM)ナタネ抜き取り隊」は毎年、国道23号線沿いに自生しているなたねの抜き取り調査を行っているらしい。

コープ自然派もGMナタネ自生調査に参加していて、四国と関西で100検体の自生なたねを調査したところ、4検体がGM陽性、6検体が擬陽性(陽性と陰性の間)で、神戸港で発見されたGMなたねは、GM作物を取り扱っていない工場の敷地内に点在していたとのこと(輸送中にこぼれおちたGMなたねが周囲に飛んで汚染が広がってしまう実例)。

今回のGMナタネ自生調査の全国結果は、採種された948検体のうち56検体がGM陽性だったらしい。いずれの調査も、遺伝子組み換えなたねがこぼれ落ちやすい場所で採取したのだろうと思うけれど、果たしてどれくらいの範囲まで広がっているのだろう。

遺伝子組み換え作物なんてこわくない、と考えている方もいるだろうけれど、GM作物により、発達障害やアレルギー疾患など、さまざまな健康被害の発生が報告されている。その原因の一つとして考えられているのが、遺伝子組み換えの除草剤耐性作物に使用されるグリホサート(「ラウンドアップ」などの除草剤の主成分)の残留(グリホサートをかけると雑草は枯れるけれど、遺伝子組み換えされたその作物は枯れずに残るようになっている)。グリホサートの危険性については、2015年に世界保健機関(WHO)の外部研究機関「国際がん研究機関」が、「ヒトに対して恐らく発がん性がある(警告レベル: probably)」と判断しているにも関わらず、日本ではグリホサートの残留基準値が大幅に緩和されようとしている

「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」の試算によると、日本の食卓に出回るなたねのうち、GMなたねの割合は89.1%にも上るらしい。

うちではなたね油をめったに使わないけれど、お菓子などに時々、綾川町(香川県)産のなたねを絞った油を使っている。

なたね油のラベルを見ると、「遺伝子組み換え不分別」と書かれていることがある。一見して理解しにくい表現だけど、遺伝子組み換えの原料とそうでないものを区別していないですよ(多分入っていますよ)、ということ。

ぼくは少しくらい値段が高くても、安全なものを選びたい。

以下は、遺伝子組み換えではないなたねを使った油。


カホクの菜の花畑 国産なたね油 650g

青森と鹿児島産の無農薬の大豆を使用し、和紙でろ過しているらしい。身体によくないとされるエルシン酸の含有率が0%。最近は地元の綾川産の菜種油を使っているけれど、これも前に買ったことがあり、クセがなくて美味しかった記憶がある。


【関連記事】

by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto