DIY礼賛。材料も方法も自分の好きなようにでき、技術が身に付き、節約にもなる。


お借りしている古民家は、自由に改装してもいいと言ってくれているので、壁に漆喰を塗っている。東京のアパートで暮らしていた頃から、古民家のリフォームに興味があり、自分でしてみたかった。

漆喰といっても、いろいろある。材料と値段を考え併せて、どれがいいか選ぶのはけっこう時間がかかった。結局、高知石灰工業の「白亜」という漆喰が気に入って、これを使い続けている




漆喰塗りは、慣れるまでは難しく、床に漆喰をポタポタと落としながらの作業だったが、壁を何枚も塗っているうちに、コツがつかめてきた。重要なのは、水加減だということがわかった。壁の性質によって、塗りやすい水加減を調整する必要があり、それが感覚的にわかってくると、塗るのがずいぶん楽になった。

DIYの場合、材料も、方法も、自分の好きなようにできるのがいい。業者にお願いする場合でも、自分で用意した材料を使ってもらえる場合もあるようだけど、そうでない業者さんもいるかもしれない。

普通、古い壁の上から漆喰を塗る場合、その上に直接漆喰を塗ると壁がはがれてきて塗りにくいので、まずは「表面強化剤」のようなものを塗って、その上から漆喰を塗るようだ。「表面強化剤」の成分を見てみると、アクリルシリコンなど、よくわからないものが入っていて、人体にどのような影響があるかわからない化学物質をなるべく使いたくないと思っているので、ぼくは直接漆喰を塗っている。

古い壁に直接漆喰を塗ると、壁によっては、漆喰が乾いてきた頃にベロンと剥がれてきてしまったり、塗っている最初に剥がれた壁が漆喰に混ざったり、なかなか大変だけど、壁の性質を見極め、少しずつ時間をかけて塗ればできないことはない。時間はかかっても、自分が納得できて一番気持ちのいい方法で行えるのが、DIYのいいところ。

やっているうちに、腕も上がってきて、ますます自分の好きなようにできるようになってくるのも楽しい。

それに、たいてい、業者に頼むよりも材料と道具を揃えてDIYでしたほうがお金もかからない。ぼくが使用している漆喰「白亜」は、20キロ入りで3,400円。これひと袋で、標準的な施工面積は16㎡とされている。ちょっと調べてみたところ、業者に依頼すると、1㎡あたり、4,000~5,000円くらいかかるらしい(材料費と施工費込み)。自分で漆喰を塗る場合、鏝(こて)、鏝板、トロ船(漆喰を混ぜ合わせる容器)などの道具を揃える必要があるが、道具は一度揃えるとずっと使えるし、それほど高価なものでもない。道具代を入れて(合計10,000円と多めに見積もって)、たとえば80㎡分の壁に漆喰を塗るのに、DIYだと27,000円、業者に依頼すると360,000円かかる(業者に依頼すると、DIYの約13倍の費用となる)。

もちろん、DIYでするのと、長年の経験を積まれた職人さんや業者に依頼するのとでは、仕上がりは違ってくるので、完璧な仕上がりを求める場合、いきなり自分では難しいかもしれない。とはいえ、漆喰塗りの場合、素人の塗りには素人の味わいがあり、自分で塗れば、たいてい愛着の感じられる仕上がりになるのではないかと思う。

4年間、間を置きながらだけど、漆喰塗りを続けてきて、これだけ続けるとさすがにだいぶ上達した。他所の家の壁に漆喰を塗る「3万円ビジネス」もできそうだなぁと、思うこともあるけれど、まずは自分の家から。まだ、漆喰を塗りたい壁がたくさん残っていて、漆喰修行は続く…。


【関連記事】

by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto