ストーリーを語れるものに囲まれて暮らす。「何となく」ものを買わなくなった

うちに遊びに来てくれた友人に、家の中の一見変わったものや見慣れないものについてきかれることがあり、それについて話すと、家の中のもの何にでも「ストーリー」があることに驚かれることがある。

ぼくよりも相方のほうがよく覚えているから、たいてい相方が詳しく語る(ぼくがうろ覚えで話し、相方が訂正してくれることがよくある)。

友人たちにそう言われてみて、たしかに、いつの間にかそうなってきたことに気づかされた。かつては、暮らしで必要そうなものを何となく買い、特に愛着を感じず何となく使っていたが、だんだんと、ものを買うときの自分たちなりの基準ができてきて、何となく買うということが(ほとんど?)なくなった。

それが、どこで、どんな人たちによって、どんなふうにつくられたのか、なるべく調べてから買うようになった(特に、長く使うものや、高価なものは)。自分が共感したり、応援したいと思うようなものに囲まれて暮らしたい。毎日のように目にしたり使ったりするものに、愛着を感じ、見て、使ってうれしくなれば、何でもないような毎日の暮らしがちょっと楽しく、気持ちよくなる。

そのためには、別に高価なものでなくても構わない。自分が愛着をもてるかどうか。下手でも、自分で丁寧に心を込めてつくったものには愛着が感じられる。先日つくったつるかごは、ジャガイモを取り出すたびに見てうれしくなる。


調味料や食材にしても、一つひとつに多くのストーリーがある。まっ先に浮かんだのは、去年から使い始めた貊村の「れなり」というオリーブオイル。ブログにもこのオリーブオイルについて書いたように、これだけでも詳しく伝えようと思ったら、数十分かかる。興味を持ってくれた方にはパンフレットを渡せるように、株主になったときにたくさん送ってもらった。


最近は、「顔の見える野菜」が増えてきて、高松の「春日水神市場」で買うと、たいてい、生産者の顔写真と名前や農園名、産地が載っている。料理するときに、まずそれをちゃんと確認してから野菜と向き合うことにしている。よくお世話になっている生産者さんの名前やお顔は覚えていて、相方と「~さんの人参?」などと話す。美味しかったら覚えておいて、次に買い物に行ったときに、「この間の~さんの人参、美味しかったなぁ!」となり、また同じ生産者さんの野菜を選ぶこともある。

食べものはすぐにお腹の中に入って消化・吸収されて家の中から消えてしまうけれど、使い続けるものは、長く愛着をもって大事にできるものを選びたい。そのためには、自分の感覚を磨く必要がある。かつては、買ってみたものの、すぐに飽きてしまって買い替えたくなるようなことも多かったけれど、「安物買いの銭失い」はやめようと思って、あるときから、慎重にものを選ぶようになった。何か欲しいものや必要なものがあっても、「これだ!」とピンと来るものに出会うまで待ち、「まぁ、これでいいかな」くらいでは買わずに、今あるものを使い続けるのがいいかもしれない。

家にグラスがあまりなくて、欲しいと思っていたが、なかなかピンとくるグラスに出会えずにいた。ちょっと気になるグラスがあったりもしたが、急がずに購入は控えていた。すると、最近、すごいグラスに出会えた。そのストーリーも長くなるので、また近々、別の記事で…。


【関連記事】

by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto