間伐材を有効活用する「組手什(くでじゅう)」で本棚をつくる。

壁に漆喰を塗り終えた床の間に、本棚を置くことにした。そのうち棚をつくろうと思って約3年も前に購入してあった「組手什(くでじゅう)」をようやく開封。箱を開けた瞬間、杉のいい香りがした。


「組手什」とは、日本国内の森の間伐材を利用し、「組手」加工した組み立て部材で、自由に組み合わせて、棚やベンチ、椅子、洋服棚など、アイデア次第でいろいろつくることができる(「組手什」でグーグルの画像検索をすると、いろんな作品がでてくる)。

生産地や生産者は、鳥取、宮城、栃木、東京、神奈川、滋賀、愛知と、あちこちに広がっているらしい(3年前の情報なので、現在は?)。今回は愛知の「組手什おかげまわし東海」(長坂木材工業株式会社)から届けてもらった。上の写真のように、梱包にムダがなく省資源なのもうれしい。

生産元によって、樹種が異なるのかどうかわからないが、今回届いたのは、愛知県東三河を産地とする杉の間伐材。日本の人工林では、数十年前に杉やヒノキを植林したものの、間伐が行き届いていない。間伐しないと森が暗くなり、林床に光が届かず植林された木以外の植物が育たずに土がむき出しになり、土砂災害が起こりやすくなる。

特にまだ細い木は、間伐されても切り捨てにされることが多いが、「組手什」では、通常は利用されない木材の活用を可能にしている。


一本が細く、これなら細い木材からもつくれる。切り込みを入れる「組手」加工を施すことで、一本が細くても、組み合わせることでいろんなものをつくることができる。なんとうまいこと考えたもんやなぁと、嘆息。

これをどうやって組み立てるのか、いまいち想像がつかなかったけれど、実際に届いたものを触ってみると、できそうな気がしてきた。


組み立てサンプルが載った紙を入れてくれていて、これを参考にすることにした。組み立て方の説明は特にない。ただ縦横に組み合わせるだけなので、必要ないのかもしれない。

本棚を置くスペースを考慮して、設計図を書いたらこんなにシンプルで済んだ。


出っ張っているところが「セル」と呼ばれ、セル何個分の長さにするか、だけをメモした。


こんな「プランニングシート」も入れてくれていて、複雑な作品をつくるときは必要かもしれない。


セルの真ん中をのこぎりでカット。


カットするのはあっという間で、楽しい作業。

いよいよ組み立て。


棚の奥の部分から組み立てていく。


このように組み合わせる。互いにかみ合わせることで、木材の特性である粘り強さを生かし、反りや捻じれ、曲がりを補正することができるらしい。

組手を組み合わせるにはけっこう力が要り、立てたまま組み立てるのは大変なことに気づいた。床に寝かせると、一気に楽になった!


「半割」のパーツも入れてもらっていた。


これは、組み終わりの部分にはめ込むもので、切り欠きの凹凸を埋めてくれる。


なくてもいけるけれど、これを入れることで見た目にすっきりし、強度も高まる。

数時間で完成!


見ているとうれしくなる美しさ。部屋中に杉に香りが漂う。


斜め横から見るとこんな様子。隙間がたくさんあるので掃除しづらいのが難点かもしれないが、こまめに掃除しながら本を整理しようと思った。

切った後で余った短いパーツで、小さな棚もできた。


これは楽しい。おもちゃのブロック感覚で、いろんなものがつくれる。ノコギリが扱える年齢になったら、机もイスも棚も、全部自分でつくれてしまう。

愛知の「組手什おかげまわし東海」では、1セット20本(1万円)を購入すると、そのうちの500円が産地の支援に使われるらしい。仕組みがわからないけれど、この500円は、約1トンの原木丸太の利用につながり、それによって約50坪(165㎡)の健全な森づくりを進めることになるとのこと。

販売情報は、「組手什おかげまわし東海」のウェブサイトに書かれている(yahoo shoppingは閉店になっていた)。


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by 硲 允(about me)
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