能力の減退を感じているなら「新ヒバクシャ」の症状かも?三田茂院長の放射能被爆に関する論考について

2011年3月11日の福島原子力発電所事故から7年が過ぎた。

昨日届いた、環境活動家の田中優氏のメルマガで、「三田医院」の三田茂院長による「『新ヒバクシャ』に『能力減退症』が始まっている」というタイトルの論考が紹介されていた。

原発事故後、放射能のことを調べているときに、三田氏の記事を何度か目にしたことがあった。当時、三田医院は東京の小平市にあり、診察を受けに来る東京都民の放射能による健康被害を指摘されていた。

三田氏はその後、岡山に移られ、2014年に岡山で新たに開業された。

東京の各地で滞留した放射性物質が濃縮されて汚染が進行し、「東京は、もはや住み続ける場所ではない」、「残念なことに、東京都民は被災地を哀れむ立場にはありません。なぜなら、都民も同じく事故の犠牲者なのです。対処できる時間は、もうわずかしか残されていません」といった発言をされている(参考記事)。

ご自身も体調をわるくされたことが、移転の理由の一つとなったようだ。

まだ視聴できていないけれど、「私が東京を去り、岡山に移住した理由・一開業医の判断」 という題で語られた講演会の動画がIWJで公開されている

岡山県瀬戸内市の保養団体「せとうち交流プロジェクト」が企画された講演会(「東京の放射線被害の実態」)の動画も公開されていて、こちらもそのうち視聴したい。




三田院長は、原発事故後、患者さんたちの体調の変化に気付き、首都圏の住民を中心に、約4000人の検査や診療を行ってこられた。

小児、特に乳幼児に顕著だった白血球減少は、原発事故後1年間はホットスポットとして知られる東京東部から東葛エリアで目立ったが、その後は西部の武蔵野エリアにも広がり、今では首都圏はどこでも同じとなったらしい。三田院長の観察によると、東京首都圏居住者の健康被害は明らかで、福島県の汚染の少ない地域や北関東の住民よりもむしろ深刻だという。

三田院長は、「新ヒバクシャ」という概念を提唱されている。ヒロシマ・ナガサキの原爆投下、ビキニ環礁での水爆実験、チェルノブイリ原発事故、湾岸戦争、軍事や核産業に従事するヒバクシャたちに引き続く、21世紀の「新ヒバクシャ」。過去のヒバクシャと異なるのは、長期にわたる低線量被曝を受け続けていることであり、これまでは全く新たな健康被害が発生する可能性もあると指摘されている。

「新ヒバクシャ」の生活に影響を及ぼす症状として、以下が挙げられ、これらの症状は2016年頃から急増加し、その程度が強まってきたという。

・記憶力の低下 (ものおぼえの悪さ、約束の時間を間違える、メモを取らないと仕事にならない)
・疲れやすさ (仲間についていけない、長く働けない、頑張りがきかない、だるい、疲れると3~4日動けない、昔できていたことができない、怒りっぽく機嫌が悪い、寝不足が続くと発熱する<小児に多い>

・集中力、判断力、理解力の低下 (話の飲み込みが悪く噛み合わない、ミスが多い、面倒くさい、新聞や本が読めない、段取りが悪い、不注意、やる気が出ない、学力低下、能力低下、頭の回転が落ちた、宿題が終わらない、コントロールできない眠気、倒れるように寝てしまう 学校から帰り玄関で寝てしまう、昼寝をして気付くと夜になっている、居眠り運転、仕事中に寝てしまうので仕事をやめた)

「新ヒバクシャ」以前のヒバクシャにも、これらの症状は多く見られたという。

厄介なことに、これらの症状は、放射能の被害を受けていなくても現れる。こうした症状を訴えて病院に行き、放射能被曝の懸念を話しても、バカにされたり、怒られたり、睨みつけられたり、ろくな目に遭わないことが多いようだ。罵倒されて打ちのめされ、疲れ果てた母親、岡山の医院まで来て涙ながらに心配を訴えているとのこと。

これらの症状は、東日本から西日本に移住したり、保養したりすることではっきりと改善するケースが多いという。

三田氏によると、症状の大きな原因は、相対的脳下垂体-副腎皮質機能低下症というべきホルモン異常であり、副腎皮質ホルモンの経口投与によって症状を回復させることも可能だという(この方法により、約70~80%が「能力」の回復を実感)。

ここ2~3年、西日本在住の人たちの間でも、「眠気が強い」「病気にかかりやすい」「急に老けた」「仕事が辛い」「物忘れが激しい」といった、「能力減退症」の訴えが散見されるようになったという。西日本にも当然、放射能汚染された食品が出回っており、「新ヒバクシャ」は東日本だけの問題ではない。

三田氏の論考の全文はこちら


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