メッセージソング・シンガー、夫赶寛(プーカングァン)さんの記事を読んで。

夫赶寛(プーカングァン)さんのことを、週刊金曜日(2019年2/8号)で初めて知った。

夫赶寛は、東京の荻窪駅の近くにあるライブバー「BUNGA」のオーナーであり、シンガーソングライターとして活動されている。

大阪の猪飼野(大阪市生野区)の「朝鮮人部落」で生まれ、子どもの頃から朝鮮人として差別や理不尽さを嫌というほど経験されてきたという。

仕事は最初、親孝行のために韓国系の信用組合に入られたが、メッセージソングを歌っていく夢を断ち難く、勘当同然で信用組合を辞め、日本全国歌の旅に出られた。当時はストリートミュージシャンがほとんどいない時代で、そんななか、ギター一本をかついで沖縄から北海道まで約5年間かけて演奏して歩いたという。

その後、2005年にライブバー「BUNGA」をオープンされ、10代の頃から歌い続けてきた反戦歌・反差別の歌を月2回のペースでお店で歌われているという。オリジナル曲は500曲もあるらしい!

週刊金曜日の記事(「差別と偏見を超えLOVE&PEACE 在日コリアンのシンガー 夫赶寛」)で、在日コリアンに対するヘイトデモやヘイトスピーチについてどのように思っているか、と問われた際の回答のキレがすごい。
「一部の人間が自分たちが見たいものだけ見て、知って、ヘイトスピーチなどをやっている。あいつらは、朝鮮人の彼女でもできたら、コロッと気持ちが好意的な方に変わると思う。問題は国家のほう。朝鮮人差別が、今国家にとって必要だから、ヘイトスピーチを行なうような奴らを野放しにしている。そうした人々も含め、国家に都合のいい、偏った情報に踊らされる人民は利用されているだけ。国家は愚民化政策を行ない、人を殺しても平気な人民を作り出していく。同じ人間と思えば、戦争になっても敵の相手を殺せない。差別は『殺し』の始まりなんだよ」(週刊金曜日 2019年2/8号 p.39より)

「差別は『殺し』の始まりなんだよ」…!その通りだと思う。戦争で人間を殺せるような人づくりは、情報操作によっては始まるのだろう。

この短い言葉にこもった力にはすごいものがあると感じた。何十年にもわたる年季がなければ生まれないであろう鋭さを感じる。正義の鋭さは爽快でもある。

夫赶寛のウェブサイトはこちら。演奏もYoutubeなどで公開されている(ウェブサイトの「Sound」のページから)。力強く、やさしさも感じる演奏。生でも聴いてみたい!


by 硲 允(about me)
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