抜けた乳歯を送れば放射能(ストロンチウム90)を測定してもらえる!乳歯保存を世界の文化にすることを目指す株式会社ははの取り組み

福島原発事故以降どれくらいの放射能物質を体内に摂取してしまっているかが気になっても、現状では簡単に測定してもらうことができない場合が多く、あきらめてしまっている方が多いと思います。

放射能の影響が大きな地域で、大人よりも影響を受けやすい子どもと暮らしている(いた)場合、なおさら子どものことが心配でしょう…。

「週刊金曜日」(2019年1月25日号)で、「初の民間ストロンチウム90測定所が開設 日本で乳歯を使った内部被爆調査始まる」(週刊金曜日取材班)という記事を読み、こんな調査が始まったことを初めて知りました!

医師であり、岐阜大学医学部の元助教授、松井英介氏の呼びかけで発足したプロジェクト(「乳歯保存ネットワーク」)で、非営利の「株式会社はは」が2017年2月に設立されたそうです。

乳歯の測定費用は無料で、結果が送り主に通知され、健康相談も可能とのこと。

なぜ「歯」なのかというと、ストロンチウム90は人間の体内でカルシウムと似た働きをし、骨や歯に蓄積しやすいため。そこから何十年も放射線を出し続け、造血組織や骨髄への影響が懸念されるそうです(アメリカの研究で、乳歯の中のストロンチウム 90 が増加するにつれて子どものがんや白血病が増えていることが明らかになっているらしい)。

ぼくは震災から数年間東京で暮らしていて、そのうち機会があればホールボディカウンター(WBC)の測定を受けてみたいと思っていたけれど、ストロンチウム90によるβ線は体内で数ミリしか飛ばないので、この方法で測定することはできません。

乳歯がとっくに抜けてしまっている大人は乳歯で測定するわけにいきませんが、乳歯が抜ける4~5歳頃のお子さんの場合、簡単に測定してもらえるこうした測定所ができたのはうれしいニュースで、測定を望む人も多いかと思います。

放射性物質の汚染が特に懸念される地域だけでなく、全国どこでも。子どもたちへの影響を調べるには、全国各地のデータが必要だそうです。

測定を受けるには、こちらからダウンロードできる記録カードに記入し、このカードを添えて抜けた歯を下記のどちらかに送付すればいいそうです(送付した乳歯は測定によって形が無くなるので返却はできないとのこと)。

〒502-0017 岐阜県岐阜市長良雄総878-16 岐阜環境医学研究所内 
TEL:058-296-4038 FAX:058-296-3903

〒270-2253 千葉県松戸市日暮1-6-1 きょうどう歯科 
TEL:047-711-5201 FAX:047-711-5202

最新情報は、株式会社はは「乳歯保存ネットワーク」のウェブサイトでご確認ください。

ぼくが子どもの頃、乳歯が抜けると、下の歯は上に向かって投げ、上の歯は下に向かって投げて、丈夫な永久歯が生えてくることを願ったものですが、株式会社ははでは、これからは乳歯を保存する文化をつくることを目指しているそうです。
「抜けた乳歯を屋根に投げ上げる」のは、健康なおとなの歯が生えてくること、健康に成長することを願う日本の大切な「文化」でした。しかし、福島第一原発事故後は、「抜けた乳歯を保存する文化」をつくらなくてはなりいません。それは、ストロンチウム90が取り込まれた乳歯が、倫理的に取得できる唯一の石灰化生物組織だからです。抜けた乳歯を保存しておけば、後でその中に含まれる、ストロンチウム90を分析できます。内部被曝の証拠として、保存し測定する必要があります。乳歯保存を、世界の「文化」にしたいと思います。(非営利未来型の「株式会社はは(HaHa,Inc.)」概要書 p.2より)

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