学校で漢字をどう学ぶか?

びんちょうたんコム」で買物をして家に届けてもらうことが時々あり、そのときに付いてくる「らくナチュラル通信」という冊子を毎回楽しみに読んでいる。

今回、学校法人きのくに子どもの村学園、かつやま子どもの村小中学校 教員の中川愛さんの記事「体験から学ぶ」を興味深く読んだ。

中川愛さんが教師として働く「かつやま子どもの村学園」では、学年ごとに決められた漢字を全員で覚えるような授業はなく、「ことば」の時間に、「プロジェクト」と名付けられた活動で経験したこと・感じたことを書いたり、必要な情報を本で調べたりする中で国語の能力を身につけていくという。

自分の小学校時代を振り返ると、国語の授業で一つずつ順番に漢字を教わり、書き順を学び、同じ漢字を何度も書いて頭に叩き込んでいったもので、今生きている日本人のほとんどはそんなふうにして漢字を覚えてきただろうけれど、この学校での漢字の学び方は全く異なる。

自分が身につけてきた能力を振り返ると明らかで、必要に迫られると意欲をもって学べるし、身につきやすい。漢字の学習も同じことだろう。「別にひらがなでいいのに…」と思いながら漢字を無理やり暗記させられても楽しくないし、楽しくなければ身につきにくい。

一般的な学校では、学年ごとに学習する漢字が決まっていて、まだ教わっていない漢字を書くのはダメだという先生もいるという話を聞き、呆れたことがある。自分で本を読んだりしていれば、学校で教わっていない漢字もいつの間にか覚えるものだけど、まだ習っていない漢字を使うのは許されないとなると、新しい漢字を覚えると共に、どの漢字を習ったかまで覚えておかなければならない…。

中川愛さんが担当されているパンづくりのクラス(そんなクラスがあるとは!)では、毎週パンを焼き、子どもたちはレシピを本やインターネットで調べて書き出し、その過程で「塩」「砂糖」「発酵」など、パンづくりによく出てくる漢字を覚えるという(いいなぁ~楽しそう)。

レシピの分量をつくりたい分量に置き換える際には、割り算が必要になり、「かず」の時間に割り算や分数の学習を嫌がる子こどもがパンの分量計算は楽しんで取り組むことも少なくない、とのことで、その気持ちはよくわかる。高校の数学で教わった謎の数式は、実際にどんなときに必要になるのだろう…それがわかれば、もう少しやる気が出たのかもしれない。

いつ、どんなときに役立つか全く不明の知識を学校時代に詰め込まれてきた不毛感は多くの人が感じているところだろうと思う。感性豊かで、体験したことや見聞きしたことをあっとく間に深く吸収していく若い頃に、いつ役立つかわからないことをしぶしぶ学びつづけるのは、貴重な時間とエネルギーの大きな無駄遣いだと思う。

子どもが楽しみ、面白がりながらそれぞれの才能を輝かせ、幸せな人生を歩むには学校はどうあるべきなのか…かつやま子どもの村小中学校(@福井県)や、このような教育をスタートしたきのくに子どもの村学園から学ぶべきところは大きいと思う。


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by 硲 允(about me)