花王の研究、手指本来の感染症バリア機能を発見。アルコール除菌よりも…

新型コロナ対策で、あちこちでアルコールスプレーで手指を消毒することを求められるが、どれだけの効果があるのか、疑問に思う。

あっちでシュッシュ、こっちでシュッシュ、一日中、どこへ行ってもアルコールスプレーで手を消毒しまくっていたら、もともと自分の手に存在している常在菌にも大きな影響があるだろう。常在菌が自分の身体をウイルスから守ってくれているというから、そのバランスが崩れることは望ましいことではないはずだ。

花王の研究で、人間の手指には生来、感染症の原因となる菌やウイルスを減少させる機能(バリア機能)が備わっていて、風邪やインフルエンザのかかりやすさに関連していることが世界で初めて明らかになったというニュースを読んだ。これは一般的に認識されていることだと思うが、「世界で初めて」というのはどういうことだろう…?


とにかく、手指表面の成分には、大腸菌をはじめ、黄色ブドウ球菌やインフルエンザウイルス(H3N2)を減少させる効果があるとともに、この効果には個人差があり、手指バリアの活性に重要な成分は「乳酸」であることがわかったという。

手指バリアに自信がなければアルコール除菌頼りにするのは個人の自由だけど、アルコールで徹底的に除菌するのは限界があるだろうし肌は荒れるし生来の手指バリアは壊れるだろうし、当然デメリットもある。アルコール除菌には頼らず、手の常在菌を大事にする方針をとるのも個人の自由だが、後者ばかりが肩身の狭い思いをしなければならない世の中になりつつあるのはどうも危険な気がする。

手指本来のバリア機能を高めるにはどうすればいいのか…その方向性での対策や工夫がほとんど語られず、実行されていないのはいかがなものか。安易ですぐにできる対策が最善の対策とは限らない。あらゆるウイルスに対する根本的な対策は、自分自身の免疫力を高めることだろう。それには時間がかかるが、時間をかける価値のあることだと思う。


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by 硲 允(about me)