雑誌『自然栽培』(vol.15)に学ぶ「菌」のこと。ピロリ菌は悪ではなかった?

東邦出版の『自然栽培』という雑誌。




「奇跡のりんご」で有名な木村秋則さんが監修されていて、初めてこの雑誌を見たとき、これは日本で一番進んでいる雑誌ではないかと思った。何が「進んでいる」とするかは、人それぞれの価値観や目指すところによるので、人によっては「どこが?」と思うかもしれないけれど、これから世の中は世界全体でこういう方向に進んでいくのではないかとぼくは思っている。

と言いつつ、今までは時々本屋でパラパラと立ち読みする程度だったのだけど、ある時、これは手元に置いておきたい雑誌だと思い、本屋で見つけたvol. 15とvol.16を買ってきた。

vol.15は、「菌」の特集で、サブタイトルは「知れば知るほど、ワクワクが止まらない。あなたも、地球も『菌』でできているよね。」

最初に、長崎大学熱帯医学研究所・国際保健学分野主任教授の山本太郎さんによる「善も悪もない『微生物』の世界。」という微生物の総論的話が紹介されている。

それによると、人間の体内には100兆個とも1000兆個ともいわれる数の菌が宿っているが、過去50~60年で人間の体内に棲む微生物が急激に失われているという。その大きな原因の一つとされているのが「抗生物質」とのこと。

抗生物質を大量に投与すると、耐性ができて抗生物質が効かなくなる「耐性菌」が生まれたり、抗生物質がターゲット以外の菌も無差別に殺してしまうことで有用な微生物まで殺してしまう可能性があるという。

山本教授によると、抗生物質は使わないに越したことはないけれど、使わないとたくさんの人が亡くなるというのも事実であり、本当に必要な場合に限って使っていくというふうに、使い方を考えていくことが現実的な解決策だという。

先日もぼくは親知らずを抜いて、化膿止めの抗生物質を摂取した。抗生物質を飲まなくても大丈夫かもしれない、とも思ったが、味覚に関わる神経を親知らずの根っこが巻き込むような形で生えていて、化膿して大事な神経を損傷しては大変だと思い、飲むことにした。どういうときに「本当に必要」なのか判断するのはなかなか難しいが、抗生物質を病院で出されたら何も考えずに飲むというのではなく、ちょっと立ち止まって自分で考えてみるだけでも違ってくるかもしれない。

ちょうどこの特集を読んだばかりだったので、抗生物質を飲み始めたあと、藁にいる菌で発酵させた自家製納豆やレーズン酵母でつくった自家製ヨーグルトなどを食べて、いい菌を取り入れようと心がけた。抗生物質を飲むときも、クスリに向かって心の中で「いい菌は殺さないでね」とお願いしておいた(効果があるかは?だけど・・!)。

人間の場合、いい人だと思っていたのに嫌な面があったり、その逆もあったりして、どこから見ても誰から見ても絶対的にいい人というのは見あたらないように、菌の世界も同じようなものだという。

たとえば、ピロリ菌。1979年に発見されたピロリ菌(正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」)は、アンモニアや毒素を発生し、胃の粘膜を傷つけて炎症を起こし、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ガンとの因果関係が発表され、1994年にはWHOがピロリ菌を「第1級発ガン性微生物」に指定しているらしい。

ぼくは一時期、慢性的な胃痛や胃の不快感に悩まされ、ピロリ菌を疑って病院で診てもらうとやっぱりピロリ菌が多く、抗生物質で除菌したことがある。今では除菌することが当たり前のようになってきているピロリ菌だが、近年になって、ピロリ菌には人間にとって有益な役割も果たすことがアメリカやドイツの研究によってわかってきたという(!)。

それは何かというと、ピロリ菌が引き起こす炎症が胃のホルモンに影響を与え、胃酸の調整が行われているらしい。

また、炎症が胃壁を厚くすることによって、年をとるにつれて胃酸の量が減っていき胃潰瘍になる可能性も減るということが挙げられます。しかし、子ども時代にピロリ菌を取り込めなかった人、抗生物質によってピロリ菌を根絶した人は、年齢を経ても胃酸の量が減ることはなく、これが食道に逆流して、胃食道逆流症を引き起こす可能性があるのです。(p. 7)

その他にも、ピロリ菌が免疫細胞に働きかけて喘息やアレルギー反応にも抑制的、または予防的に働くという研究結果もあるらしい。

これを読むと、ピロリ菌を根絶してしまったけれどあれでよかったのだろうかと思えてくる。完全な悪者扱いしてしまったピロリ菌さんたち、ごめんなさい、という感じだけど、殺してしまったピロリ菌さんたちは戻ってこない。

菌や微生物も人間と一緒で、相手を完全に悪者扱いするのではなく、よく観察し、場合によってはよく知り合い、うまく付き合っていくことが必要なのだろう。

この「菌」の特集を読んでからしばらくは、自分の周りにも自分の体内にもたくさんの菌が棲んでいることを普段より意識するようになった。怒っている人の周りには怒っている人が集まってくるように、多分、自分がネガティブな気持ちでいるとそれに応じた菌が集まってきたり増えたりし、その逆も然り、だという気がした(正当な怒りは時には必要だと思うけれど)。


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by 硲 允(about me)
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