書くようにしゃべるか、しゃべるように書くか ―That is the question.


毎日のようにこのブログを読んでくれている方はお気づきかと思いますが、最近、ちょっと書き方を変えてみています。しゃべるように書いてみています。

先日、マクロビの世界で有名な中島デコさんの講演会を聞きに行って、そのときに買ってきた「生きてるだけで、いいんじゃない」っていう本を今読んでる途中なんやけど、これが面白い! この本が、しゃべるように書かれてて、講演会でお聞きしてきた話の仕方とマッチしていて、話し言葉と書き言葉の間の垣根がなくて、文章にも力がこもってるというか、生命力が宿ってる感じ。

この本に触発されたのが大きくて、ぼくもしゃべるように書くのを試してみています。といっても、これがなかなか難しい! しゃべるとなると、相手が目の前にいるから相手に合わせてしゃべり方とかトーンとか内容とか、いろいろ意識的・無意識的に調整するわけだけど、文章で書くとなると、誰が読んでくれるかわからない。目の前に誰がいるかわからんのに30分間しゃべり続けろー、と言われてもキツイものがあるけど、そんな感じやろか。

特に日本語は、丁寧語とか、尊敬語とか、相手によって使い分けるので、どういう相手を想定するのかによってしゃべり方がずいぶん違ってくる。

まぁ、そのうち、どこかに落ち着いてくると思うけど、しばらくは揺ら揺らしながら書かせていただきたいと思います(前の文体の方がよかったのに!という方、ごめんなさい)。

ぼくは生まれが和歌山なんで、もともとは関西弁で育ったわけやけど、東京の大学に行って、東京で暮らしている間にちょっと東京弁化して、でも東京の言葉でしゃべると自分を表現しにくいことに気づいて、途中からちょっとずつ関西弁に戻して、香川に移住してからは和歌山弁と讃岐弁のミックスで話してます。ぼくはどうもしゃべる言葉に影響されやすいみたいで、生まれ育った言葉じゃないと自分をうまく表現できないというか、キャラまで崩壊してくるような感じがあって、なるべく方言で(相手に伝わる範囲で)話すようにしてます。

しゃべり言葉で書くとなると、自然と、方言もたくさん混ざってきて、読みにくいところとか、意味がわかりにくいところとかも出てくると思いますが、その方が面白いことが書けるような気もしてます。

そういえば最近、何で読んだんだったかな…自分が子どもの頃から話していた方言で話すほうがウソをつきづらい、というのを何かで読みました。ぼくは方言を使わずに話したり書いたりするときも、ウソをつくのは、相手を傷つけないためのウソのようなものであってもなるべくウソはつきたくない方ですが、たしかに、方言で話したほうが「素」が出やすいというか、気楽にウソはつけなくなるだろうというのはわかるような気がします。

「です・ます」調で書くか、「だ・である」調で書くか、という違いによっても、書ける内容がずいぶん違ってきます。「です・ます」で書くと、相手がいるのを想定して書いている感じが強くなるので、しゃべり口調で書くのに近くなります。ぼくは自分の書くことが押し付けがましくなるのをおそれている方なので、「だ・である」で書くことが多いけど、それも結局は一種の「フリ」で、読んでくれる方を想定して、読んでくれる方にどういうことを伝えたり、考えてもらったり、感じてもらったり、という望みを込めて書いているので、そういうのもちょっと作為的な感じがしてどうなんだろうというのもちょっとあります。しゃべるように書くとなると、もっと直球でぶつかっていくしかなくなる。そういうのもいいなぁと、思い始めたところもあるのかもしれません。心境の変化、かな。ちょっとオープンマインドになってきたのかもしれません。

人と会うことが少なくて、毎日たくさん文章を書いていると(東京暮らしの頃はそういう感じでした)、しゃべるときも書くようにしゃべるようになってきます。実際、書くようにしゃべるね、と時々言われたことがありました。書くようにしゃべると、語数あたりの内容は詰まっているかもしれないけど、どうも躍動感に欠けたり、殻で覆われていてその人の素が隠れてしまっていたり、ということになりがちだと思います。それに、書いてばかりいると、書き言葉ではなるべく無駄な言葉は省くようにするので、雑談が下手になりがち…。毎日、書くよりもしゃべることのほうが多い方は雑談が上手いし、たまに書く文章には生命力が溢れている、ということがあります(しゃべるのは得意だけど書くのは不得手、に見える方もいますが)。ぼくは書くよりもしゃべる方が苦手なので、しゃべるように書くことでしゃべる方も鍛えられるかも、というのもあります。書くのもしゃべるのも、もっと自由になりたいものです。

というわけで、しばらくは文体がふらふらと揺れ動くかもしれませんが、今後とも珍妙雑記帖をよろしくお願いいたします。


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by 硲 允(about me)
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