中島デコさん講演会@香川県立文書館へ。食は人生を変える?


2018年12月8日(土)に香川県立文書館で開催された「マクロビオティック料理家 中島デコさん 講演会 『デコさん流自然な暮らし』~持続可能な自給的生活をめざして」(コープ自然派主催)に参加してきた。

中島デコさんは、1999年に千葉県いすみ市に田畑付きの古民家スペース「ブラウンズ フィールド」を設け、世界各国から集まる若者たちと一緒に自給的暮らしをされている。長年、マクロビオティックを実践・研究され、国内外で講演会や料理教室をされたり、本もたくさん書かれている。

うちにも下の本があり、マクロビのおやつづくりを教わっている。


中島デコのマクロビオティック パンとおやつ


2時間にわたるお話は盛りだくさんの内容で、まだ消化しきれていない感じだけど、「持続可能な自給的暮らし」の面白さや楽しさがお話や写真から伝わってきて、ぼくもこの道をもっと楽しんでいこうと思った。

食は人生を変える、という話も印象に残っている。中島デコさんは学生の頃、友人から「玄米は人生を変える」(だったかな?)と言われて、そんなことを言うから宗教だと思われたり引かれたりするんだよー、と思って相当引かれたそうだけど、今は食事が人間や人生を変えるのだと言える、というようなことをおっしゃっていた。

ただし、だからどんな食事をしろ、というのではなく、どんな人間になりたいかを決めて、それに応じた食事をすればいいのだという。ボクサーになりたいのなら、玄米菜食ではなく、闘争欲をかきたてるお肉をたくさん食べたほうがいい、というように、と、半分冗談、半分本気の感じで言われていた。菜食主義の格闘家もいるようだけど、たしかに、「闘争欲」を本気でかきたてたいならお肉中心の食事がいいだろうと思う。

ぼくも食事を変えて6~7年。以前は外食が多く肉食中心で、食品添加物も農薬も何も気にしていなかったが、菜食中心、添加物や農薬やあらゆる不自然なものをなるべく避けるようになってから、体調は明らかによくなったし、気持ちや考え方まで変わり、暮らしも変わり、そうなれば長い目で見ると人生も大きく変わることを実感している。あのまま不自然な食べものを食べ続けていたら、今頃、身体は不調だらけで毎日イライラし、そんな気持ちで暮らしているとイヤな出来事も増え、食事が乱れていると頭もちゃんと働かないので自分がこの人生で本当にしたいことを考え、実行する力もなく、何となく毎日不満や不足感を抱えながらもそこから本気で脱出しようとする意欲も湧かないままに怠惰に生きていただろうという気がする。

自分が本当に元気な状態がどういう状態なのかを知っておく、という話も面白かった。久しぶりに会った友人に、元気にしてた?と聞くと、うん、元気だよ、でもどこどこがわるくて・・という返事がかえってくることがあるけれど、それ元気じゃないじゃん!とつっこまれていた。

たしかに、常日頃身体に不調があると、それがいつの間にか当たり前になってきて、自分がだいぶ元気ではない状態になっている、ということを自覚しづらくなってくる、というのはよくわかる。ぼく自身、食事を変え、暮らしを変えてから、体力が10倍以上になったように感じていて、以前は、平日に机に向かってパソコン仕事をしているだけなのに(だけだからこそ)慢性的に疲れていて、休日にたまに旅行に行くと、移動だけで疲れて(電車に座っているだけなのに)宿に着いたら倒れ込んでいた。今思うと相当やばい状態だけど、当時はそんなもんだと思っていた。

中島デコさん曰く、元気な状態というのは、朝、楽しみいっぱいに飛び起きて、大きなうんちがぽーんと出て、という子どもの頃のような感じ、というようなことをおっしゃっていて、たしかに、子どもの頃の一時期はそんなんだったはずだと時々思うことがある。それが、だんだん「大人」になって、気の進まないことや重荷が増え、不自然な食事も積み重なって身体も不調が増え、朝目覚めてもその日やりたいこと・できることではなく、しなければいけないこと・行かないといけないところ、ばかりが頭の中を占め、飛び起きるどころか布団から渋々這い出ることになってしまいがち・・。

ぼくはこれまでの人生で2回、その日一日が楽しみすぎたのか、まだ目が覚めないうちから声に出して笑いながら目覚める日が続いたことがある。務め仕事をやめてフリーランスになったときと、東京から香川に移住したばかりの頃。自分でも気味のわるいヤツだと思ったけれど、こういう日々を毎日送れるのが大事だなぁと思った。心と身体は密接につながっているので、そういうときは体調もいい。

ぼくは長年の不摂生の報いで、大人になってから完全に元気、というのを経験したことがないけれど、それでも、食事や暮らしを変えてから、自分がだいぶ元気な状態、というのがわかるようになったように思う。そこからずれてきているのを自覚したときは、睡眠を長くとるようにしたり、食事を特に気をつけたり、予定をなるべく入れないようにしたりして調整する。元気な状態が標準になれば、そうでない状態を自覚しやすく、もとの元気な状態に戻りたい、という意欲もわくし実行しやすくなる(部屋がきれいな状態を標準にしておくと、少し散らかったときにすぐに気になってすぐ片づけたり掃除したくなるのと似ている)。

毎日元気で過ごすには、自然に沿った食事が欠かせない。

「マクロビ」というと、砂糖はダメ、肉、魚、乳製品もダメ、精製したものはダメ、何々は陰性の食品で身体を冷やすからダメ、というように、ダメダメ尽くしで堅苦しくて面倒で偏狭なものだ、という印象をもたれている方も多いと思うし、実際、そういう感じの「マクロビ先生」も多いと思うけれど、中島デコさんはそういう世界をひと通り経験されて突き抜けている感じがした。

海外を旅行されるとき、食事はどうされるんですか?土鍋とか持っていくんですか?などと質問されることがあるようだけど、そういうことをきく方は、マクロビを「手段」ではなく「目的」だと捉えているのではないか、というお話をされていた。そういう領域に入られている「マクロビ研究家」は今はまだ希有な存在で、マクロビを日々の暮らしで楽しく実践しながらご自身の求める人生を追求し、そのような暮らしや実践を明るく、押しつけがましくなくひとつの実践例として伝えてきたからこそ、多くの方に支持され、多くの方が健康に楽しく有意義に生きることに貢献されてこられたのだろうと思った。

中島デコさんのマクロビ料理は、わざわざこれがマクロビです!と言わなくても、食べて美味しくて満足感があって、あとから聞いてみると、これ、お肉も魚も乳製品も使ってなくてこんなに美味しいのー?と驚かれるような料理を目指しているという。

ぼくは年中、ご飯と野菜炒めか野菜スープ、そのままのナッツと果物があれば満足だけど、最近は、お客さんが来てくれたときなどに、野菜の美味しさをもっと引き立てられるような料理ができたらいいのに、と思うことが増え、料理の勉強をしようと、講演後に中島デコさんの本を買い込んできた。








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by 硲 允(about me)
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