今や、日本でこの道具を実用品として使っている人は何人いるのだろう? 毎年この時期になると活躍してくれる、ヤフオクで落札した「千歯こき」。お米を脱穀する道具です。
こうやって使います。本来、土台が付いていて、足で押さえながら作業するようですが、土台は朽ちてしまったようで付属していませんでした。
そこから籾だけに分けるのが大変で、大きめの藁は手で除きますが、小さなものは手で一つひとつ取り除くと膨大な作業なので、ふるいの出番です。こうやって前後に振ると、藁や中身の詰まっていない籾など、軽いものが上に集まってきて、それを指でつまんで取り除きます。ふるいがあるのと無いのとでは大違い。初めてふるいの実力を知ったときは感激でした。
脱穀したときに籾が一つひとつに別れずに穂のまま残ってしまっているものも上の方に来てしまうので、それはてのひらの部分がゴムになっている手袋で擦り合わせて籾をばらばらにして、さらにふるいにかけ、というのを何度か繰り返します。
かなり根気が要りますが、ようやく籾だけになると気持ちがいいものです。
そこからがまたまた難関。
次に、籾から籾殻を取り除いて玄米にする、「籾摺り」という作業が必要です(籾殻ごと食べるのでなければ!)。
初めてお米づくりをした年は、なるべく道具に頼らず、という方針で、木の輪切りで擦り合わせて籾すりし、それでも出来ないことはないのですが、3合籾すりするのに1日がかり! お米を食べるだけで人生が終わってしまうのはさすがに勘弁、ということで、近所のお米屋さんにお願いして機械で籾摺りしていただいてようやく食べることができました。
今年の初めに、非電化工房の「非電化籾摺機II」という道具を購入し、家でもなんとか籾摺りができるようになりました。
手回しでぐるぐる。
一気に全部籾が取れるわけではなく、何度も繰り返す必要があります。
籾は風で飛ばして後ろのネットにたまるようになっているけれど、ふるいを併用して籾を取り除くのもあり。
ようやく籾摺りを終え、これでようやく「玄米」となります。
最近は歯の治療中で玄米ではなく7分つきで食べているので、精米機で精米。
その年に実ったお米を初めて食べる瞬間は感慨深いものです。面白いことに、年によって味が違います。自然農法を提唱した福岡正信さんが生み出した「ハッピーヒル」という品種で、ハッピーヒルの特徴なのか、独特のクリーミーさがあり、最初の年よりもそのクリーミーさが減ってきたが、ほどよく残っていました。一般的に美味しいとされる味なのかどうかはよくわかりませんが、自分で育てたお米は自分にとってはとにかく美味しいものです。
そのお米の藁でつくった納豆を乗せて。最高に質素で、最高に贅沢な食事かもしれません。
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by 硲 允(about me)
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