今年も無事、お米が育った。
天日干しして、その後脱穀して食べるまでが大変なんだけど、この藁を触っていると、毎年、納豆がつくりたくなる。
藁に自然に居る納豆菌によって大豆を発酵させた本物の納豆を東京で初めて食べたときは感動した。一般的な納豆ほどネバネバしていなくて、いわゆる納豆臭さが無い、というかだいぶ違う種類の香りで、これなら納豆嫌いの人でも食べられるのではないかと思った(ぼくは納豆好きの人間なので、どんな納豆でも美味しく食べられるが、藁で発酵させた納豆の風味は格別だった)。
自家製納豆には昨年初めてトライし、藁づとの中に納豆を入れて発酵させてみたが、タッパーの底に藁を敷くだけのほうが簡単なことがわかった。
「藁づと」のほうが見た目はうれしいけれど、なかなか手間がかかるので、今年は最初からタッパーでつくってみた。
野田琺瑯の大きめのタッパーに、刻んだ藁を敷く。藁づとよりも少しの量の藁で済む。
今年は、「幻の大豆」といわれる「八天狗(はちてんぐ)」で納豆をつくってみることに。
八天狗は、熊本県山都町の水増(みずまさり)という集落で自家用につくり続けられてきた品種で、他には出回っていなかったそうで、農林水産省(農業生物資源研究所)によるゲノム解析ではデータベースに見当たらず、日本古来のまさに幻の在来種だということがわかったらしい。そんな貴重な大豆に、高松の春日水神市場でたまたま出会った。
八天狗をじっくり茹でて指でつぶれるくらいになってから、藁を敷いた上に乗せてタッパーのフタをし、保温する(40度前後で12~24時間くらいといわれている)。
保温は、うちでは陶器製の湯たんぽを使い、発泡スチロールの箱の底にタオルを敷いて、その上にタオルでくるんだ湯たんぽ(陶器製)を乗せ、湯たんぽの上にタッパーを乗せている。発泡スチロールのフタをして、下のようなアルミの保冷カバーをかけている。
タオルでくるんだ湯たんぽの上に直接タッパーは熱すぎるかなぁと思い、最初はその間に木の板を挟んでいたけれど、発酵具体がいまいちだったので板を外したら順調に発酵が進み、24時間くらいでしっかり納豆になっていた。
納豆菌で表面が白っぽくなっている。
一般的な納豆のように、一粒を持ち上げて長い糸を引く感じではなく、もう少しサラサラしているが、醤油を入れてかき混ぜると…
まさに納豆!
八天狗の納豆は、豆の風味がどーんと迫ってくる感じ。あまり大きい豆だと納豆になるまでに時間がかかりそうだけど、このサイズだと納豆にしやすい。
春から作業をしてようやく育ったお米の藁でつくる納豆は感慨深い。
全部食べきらず、次は残った納豆に新しく茹でた大豆を混ぜて保温する、というふうにすれば、自家製納豆をどんどん継いでいける。
最近、腸内細菌が大事、という話をたくさん読んで、いい菌をたくさん取り入れたくなった(歯の治療で抗生物質を飲んだ後というのもあり…)。自家製納豆はちょっと面倒ではあるけれど、純粋培養した菌でつくられた納豆よりも、自然界にいるいろんな菌が働き合っている菌でつくった納豆のほうが、腸内細菌を多様化してくれるだろうと思う。
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by 硲 允(about me)
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