学校をもっと楽しい場所にするには? きのくに子どもの村学園のこと。

by Takahata highschool 10 / frwl

「学校を卒業して、働き出したら地獄」「時間があって自由なのは学生のうち」などと言われいますが、ぼくは学生の頃より卒業してからのほうが自由で楽しい毎日を送っています。

学生時代といえば、とにかく面白くもない授業を何時間もずっと座って聞いていなければならないのが辛かった・・・。話に耳を傾けても何を言っているのやら意味不明、他のことを考えようにも先生の声がうるさいし、あからさまに他のことをするのは許されないし。ずっと座っているのは身体にもわるい。鍛えられるのは、つまらないことに耐える忍耐力くらいでしょうか。(中には面白い授業もありましたが・・・)

学校教育のやり方というのは、根本的に変えていく必要があると思います。


  • インプットからアウトプットへ

     まず、先生の話を聞いたり教科書に書かれていることを覚えたりで「インプット」ばかりだから面白くないし、頭も心も動き出さない。インプットしたことをそのまま鵜呑みにするのではなく、自分でよく咀嚼して、自分の頭で考えたことや自分の心で感じたことを「アウトプット」していくことが大事だと思います。インプットばかり上手で効率よくできるようになっても、「アウトプット」する能力を磨いていかなければ実生活では役立ちません。


  • 脳も身体も動かす学習へ

     勉強というと普通、脳でするものと思われますが、脳も身体もバランスよく動かしていかなければ、健全な精神や思考が育ちにくいのではないでしょうか。ぼく自身、都会で育ち、身体をよく動かすことといえばスポーツの部活くらいで、頭ばかり使ってきました。

    東京から香川に移住してお米や野菜を育てたり森林の手入れをするようになってようやく身体も動かすようになり、身体を動かしていないと頭や心のバランスが崩れてくるのを感じています。


  • 知識中心から体験重視へ

     体験するとなると身体を動かすことになるので、上の項目とも重なるのですが、知識だけでなく、自分の全身や五感や心をフルに使えるような体験をしていくことで、自分の好きなことや得意なことがわかり、学びも深まるのではないかと思います。いろんな職業を体験したり、現場を見にいっていろんな人の話を直に聞いたり、自分の気になるテーマを自由に設定してあちこち取材して調べ学習をしたり。

    小学校から高校卒業まで12年間勉強して、それで自分のしたい仕事が見つからない、というのは、教育の方法に問題があると思います。カリキュラム通りに先生に教えられることを学ぶだけでなく、自分の問題意識に従って勉強を進めていけば、誰にだってそれぞれ違った興味や関心が広がっていくものではないかと思います。そうなれば、勉強は楽しいものになり、誰かに強制されなくても一生続けたくなるものです。

ぼくの故郷の和歌山では、そのような教育をおこなっている学校があります。「学校法人きのくに子どもの村学園」という小・中学校で、1992年に和歌山県橋本市でスタートし、戦後はじめて文部科学省から学校法人として認可された「自由な学校」らしいです。

以下のような基本方針を定めています。


■自己決定の原則
子どもがいろいろなことを決めます。学習計画や行事の立案が子どもと大人の話し合いで決まります。自分の入るクラスが選べます。クラスミーティング、寮のミーティング、そして全校集会など、話し合いのとても多い学校です。
■個性化の原則
一人ひとりの違いや興味が大事にされます。個性や個人差を尊重します。年齢が同じだからといって、同じことを同じ方法で、同じペースで、同じ答えに向かって学習するのではありません。ひろい範囲のさまざまな学習や活動が選べます。
■体験学習の原則
直接体験や実際生活が学習の中心になっています。本やドリルの勉強よりも、実際に作ったり調べたりする活動が重視され、「プロジェクト」と呼ばれて時間割の半分を占めています。クラスはプロジェクトのテーマによってつくられ、子どもは好きなところを選んで所属します。

ぼくは和歌山にいたのに、こんな学校があるとは、最近まで名前すら聞いたことがありませんでした。

子ども時代をこんな学校で過ごしたら楽しそう。機会があればいつか訪れてみたいと思っています。

きのくに国際高等専修学校という高校もあり、また、和歌山だけでなく、その後、かつやま子どもの村小中学校(福井県)、南アルプス子どもの村小中学校(山梨県)、北九州子どもの村中学校(福岡県)もできていて、約400人の子どもたちが寮生活を送りながら学んでいるそうです。

きのくに子どもの村学園のことを詳しく知るには、設立者の堀真一郎さんの本があります。


きのくに子どもの村の教育―体験学習中心の自由学校の20年(堀 真一郎)