「春の魚」(珍妙お絵かき帖)


(多分)はじめてのちぎり絵。なんとなく、魚になった。なんとなく、波がでてきた。なんとなく、フグっぽくなった。知らないうちに口らしきものができていた。偶然なのか必然なのか、自分では意図したつもりのないものが生まれるのが面白いです。

魚といえば、かつては魚を食べるのが好きでしたが、今ではまったく食べなくなりました。魚を食べ始めると、クセになり、お店に行く度に鮮魚コーナーに引き寄せられていました。香川に来て、初めて見る魚がいろいろあり、気になる魚は食べてみたくなりました。食べてみると、それなりに美味しいのですが、そのあと、お腹が重たくなります。お米と野菜と豆、という菜食のほうが、身体が軽いのです。魚を食べると、なぜか、頭も痒くなります。そのうち、小さなシラスでさえ、お腹が重たく感じるようになり、だんだん、魚を食べなくなり、そのうち、全く食べなくなりました。

魚は食べるよりも、見るほうが好きです。先日、スーパーのお魚コーナーの水槽で、鯛が泳いでいました。鯛を見ると、焼き魚にした鯛を思い出します。生きて、動いて、何か考えてそうな鯛を見るのは新鮮です。水槽に入れられた鯛は、もうまもなく、食べられてしまうことをおそらく知っているのではないかと思います。人間を冷ややかな目で見てきて当然だと思いますが、しばらく、水槽の前でたたずんでいると、そのうち、こっちにちょっと興味を示し始め、動きも活発になってきました。毎日一緒にいたら、鯛がどこまで人間になつくのだろうかと気になりました。