『とろみの料理帖』(魚柄仁之助 著)で知った「のっぺい汁」をつくる。

魚柄仁之助さんの『とろみの料理帖』という本が目にとまった。

普段、「とろみ」というのはあまり意識しないキーワードだけど、この本を読んでいると、「とろみ」への興味や好奇心がわいてきて、とろみのついた料理がつくりたくなってきた。

とろみ料理の歴史のお話もあって、面白い。「チャプスイ」という料理は初めて目にしたのだけど、昭和20~30年代の日本の料理本によく登場するとろみ料理で、材料や味付けにこれといった決まりはなく、食材を細かく切って油で炒めた後、片栗粉などでとろみを付けた料理のようだ。中国清代の政治家である李鴻章(りこうしょう)が米国を訪れた際、出されたご馳走が口に合わず、残ったご馳走を中華鍋で炒め直し、水溶き片栗粉でとろみを付けたのがはじまりという一説があるらしい。そんなエピソードを知ると、なおさらとろみ料理がつくりたくなる。

本を見て初めてつくってみたのは、これも初めて知った、東北の「くるみののっぺい汁」という料理。

ちょうど家に、掘りたての里芋や、くるみ、にんじん、干ししいたけ、高野豆腐、酒粕が揃っていた。
レシピには書かれていないが、写真にはこんにゃくも写っていて、ちょうど、賞味期限切れで気になっていたこんにゃくが待機してくれていたので、活躍してもらった。

レシピでは水溶き片栗粉となっているが、とろみ付けは葛粉で。

きざみショウガも入れてみた。いきなりアレンジして、最初にオリーブオイルとごま油で野菜をある程度炒めてから、干し椎茸と高野豆腐の戻し汁と水を加えて煮た。野菜に火が通ってから酒粕を入れ、水溶き葛粉でとろみを付けた。味付けは塩と醤油。


ネットで調べてみると、どうやら東北以外でも似たような郷土料理があるらしい。これは美味しい! 各地で受け継がれてきたのも頷ける。季節ごとに具を変えて、いろんなバリエーションで試してみたい。




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by 硲 允(about me)