アーユルヴェーダで最も優れたオイルとされる「ギー」を食べてみたところ…

アーユルヴェーダの本を読んでいると、「ギー」というものがでてくる。無塩バターを高温で熱し、バターから水分やたんぱく質、不純物を除去している。アーユルヴェーダでは、エネルギーに満ちた最もすぐれた油とされているようだ。

ぼくはこの頃は動物関係の食品を摂らなくなったが、ギーというのは気になって、試してみることにした。


GHEE EASY(ギー・イージー)というブランドの「グラスフェッド・ギー」。自然な環境で放牧され、天然の牧草を食べている牛のミルクからできたバターを使用しているらしい。


ミニ・レシピブックがついていて、ギーの説明もいろいろ書かれている。

ギーには、脂肪燃焼効果のある共役リノール酸、腸内環境を整えるプチル酸、美肌効果のあるビタミンA、E、Kなどの豊富な栄養素が含まれています。
米国のTIME誌は、「最も健康的な食品ベスト50」にギーを選定しました(2015年3月2日発行)
アーユルヴェーダで、ギーは最も健康的な油とされています。
とのこと。

加熱すると煙が出る温度「発煙点」が高いのもギーの特徴らしく、発煙点を超えて加熱調理すると、トランス脂肪酸などの発がん性物質が発生するといわれているらしい。ギーの発煙点は250℃、ココナッツオイル、バター、ごま油は175℃、EVオリーブオイルは160℃、MCTオイル(中鎖脂肪酸油)は150℃、アマニ油、えごま油は107℃とのこと。

期待してもいいのだろうか…
蓋を開けてみた。


常温で固まっている。一口指ですくって食べてみると、予想していたよりもバターっぽい風味が強くないが、うっすらとバターの風味はする。

コーヒーにギーを浮かべて飲む、という話を前に聞いたことがあり、まずはその方法を試してみようと思った。付属のレシピブックにも「バターコーヒー」として紹介されていて、「欧米で人気の完全無欠コーヒー」と謳われている。

ティースプーンでギーをすくい、オーガニックのデカフェコーヒーに入れた。


すぐに溶けて透明になっていった。

案外あっさりとして、飲みやすいが、久しぶりに食事から動物の香りがするのはだいぶ違和感があった。ともかく、1杯、美味しくいただいた。

飲み終えたあと、前歯の歯茎にムズムズする感じがあった。砂糖を食べて歯茎が反応するときの感じに近い。歯磨きしながら歯茎を確認すると、ちょっとゆるんで腫れているように見えた(砂糖を食べたときほどではないが)。食後も自分の口から動物の香りがすることにも不快感があった。

同じようにギー入りコーヒーを一緒に飲んだ相方も、お腹が重たいという。そう言われてみると、お腹もちょっと重たい感じがした。相方はその後、体にできものができたり、肩こりが悪化したり、効果てきめんだった。

「完全無欠コーヒー」のはずなのに、ぼくらにはやっぱり動物性のものは合わないようだ。アーユルヴェーダを実践されている方の中には、ギーを食べて健康な人もいるだろうけれど、体質は人それぞれ。摂取後の体の反応を見ると、自分の体に合っているようには思えないので、やめておくことにした。デカフェコーヒーとの組み合わせがわるいのかもしれない、という可能性も考えたが、ここまで負の反応があった食品を別の方法でさらに試してみようとは思えなかった。

牛が暮らしの中にいて、自分で絞らせてもらったフレッシュなミルクでギーをつくれるような人の体質には合っているかもしれないが、遠くから運ばれてきた牛のミルクを常食することにも不自然さを感じる。

今回、こういう結果になったが、たまにこういうものを食べてみることで、自分には野菜・穀物・ナッツ・豆・フルーツを基本とした食が合っていることを再確認した。