コンビニで居合わせた男性の運転に想う、交通事故と車のこと



夜中に出歩くことは少ないが、先日、その日じゅうにコンビニで支払わないといけないものがあることに気づき、10時半頃に出かけた。

そんな時間なのに、レジには行列ができていた。ぼくの前に並んだ男性は、おにぎりやカップラーメンや酒を買い、これから帰ってから夕食らしい。20歳以上であることを確認するボタンを画面上で押すように言われ、苛立った様子で画面を叩いていた。

ぼくは料金の支払いを済ませ、コンビニを出て自転車をこぎ出し、横断歩道で信号が青だったので渡ろうとしたところへやってきた車の中に見えた顔はさっきの男性だった。

赤で車を止めたが、アクセルを小刻みに踏んでじれったそうにちょっとずつ前に進んでいる。危なっかしいので、ぼくは信号が青だが渡らずにいた。

男性の行く手の信号が青に変わると、車は走り出した。飛ばして行くだろうと予想していたが、なぜかゆっくり進んでいった。急いで帰ったところで大した楽しみもないのかもしれない。赤信号でじれったそうにしていたのに、その後でゆっくりと走り出したギャップが妙に恐ろしく感じられた。

香川県は交通事故が多い。毎年のように事故件数で上位に入っているらしい。たしかに香川に移住してから自転車で移動していて危ない目に遭ったことが何度もある。まず、自転車で移動している人が少ないので、自転車が現れることを想定せずに運転しているように見える。歩行者や自転車を確認せずに大通りからスピードを落とさずに曲がって突っ込んでくる車がよくある。それに、自分が進む方向しか見ていない運転手も多い。向こうにはこっちが見えていないものと思って余程注意しておかないと危険だ。香川で事故が多い理由は、「自分さえよければいいと思っている人が多い」からだと地元の方に言われたことがある。

今年度は既にかなりの事故数に達しているらしく、県知事は出向く先々で交通事故防止を呼びかけているようだ。気を付けろと言われて気を付ける人がどれくらいいるかわからないけれど・・。

交通事故を減らすには、気持ちに余裕のある人を増やすことが重要だと、コンビニから帰った男性の運転を見ていて思った。楽しくない仕事を夜遅くまでして、お腹も空かしていれば、運転も雑になる。自分の暮らしや人生に満足できていなければ、なかなか他人への思いやりは生まれてきにくい。他人や社会に苛立って攻撃的な気持ちになっていると、運転も攻撃的になる。

自転車をこぎながら、次々にすれ違う車に乗っている人の様子を何気なしに見ていると、煙草を吸ったり、食事をしたり、スマホを使いながら運転している人が結構多い。車から排気ガスを出しながら、その中では苦々しい顔をして煙草の煙を吸い込んでいる人を見ると何ともいえない気持ちになる。

向かう先が楽しい場所なら、車の運転も楽しいかもしれない。しかし、せっかくスピードの出る乗り物に乗ったって、気の進まない場所へ義務的に向かうのなら、人間が作り出した車が人間の幸せに役だっているといえるだろうか。おしゃべりしながら楽しそうに運転している人も見かけるが、苦々しい顔で運転している人のほうが多い。歩いたり走ったりしている人のほうが、大抵いい顔をしている。


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