『自然に沿った子どもの暮らし・体・心のこと大全』(本間真二郎 著)という本を読んだ。
本間さんは、小児科を専門とされ、西洋医学の医師免許を持つ医師。札幌医科大学医学部を卒業した後、大学付属病院をはじめ北海道内の中核病院をまわりながら小児科医として勤務されたり、米国の国立衛生研究所(NIH)に留学してロタウイルスワクチンの開発に携わったり、帰国後は札幌医科大学付属病院の新生児集中治療室(NICU)室長を務めるといった経歴を持つ。その後、ご自身の考えるより深い医療を追求するために、大学病院を退職して栃木県那須烏山市に移住し、七号診療所に赴任されて現在、所長を務める。
かつて、本間さんは西洋医学を一日も早く究め、薬や注射などを駆使して病気に対処するのが最善と考えていたが、西洋医学は実際には、症状をとったり検査の値を良くする対処療法がほとんどで、そもそも病気にならないように指導したり健康を増進することについてはまったく考慮しておらず、病気や健康上の問題を抱えた子どもたちは右肩上がりに増え続けているのが現状だという。
本間さんは自然の仕組みを理解するために、自然農による作物の栽培を開始し、現在では米や野菜などをほぼ自給自足でまかなっているほか、ご自分でつくられた麹菌などで味噌、醤油、酢、納豆、甘酒などの調味料や発酵食品をつくられているという。
そうした暮らしについては、下の本で紹介されている。
「病気にならない食と暮らし」(本間真二郎 著)
そのような自然に沿った生活をされるなかで、「すべての病気は、自然から離れた日常生活(食事、生活、メンタル)にある」というシンプルな結論に達し、そのことを伝える活動も開始されたという。
本書は、次のように構成されている。
第1部 暮らし
第1章 衣食住
第2章 毎日の生活
第2部 体と心
第3章 妊娠前、妊娠中の過ごし方
第4章 母乳、人工乳、離乳食、成長発達
第5章 アレルギー
第6章 ワクチン、感染症
第7章 心
第8章 病気とホームケア
全部で400ページ近くあり、結構ずっしりとした一冊。ひと通り読んでおけば、いざという時に大事な判断の材料となる情報がたくさん掲載されている。
「自然派」の本には、西洋医学を頭ごなしに否定するような感じのものも多いが、西洋医学を深く学び、実践されてきた本間さんの視点は幅広い。
ワクチンのリスクについて、最近ではよく情報を見かけるようになったが、ぼくが子どもの頃は、そういう話を全く聞いたことがなく、何の心配もせずにポンポン打たれていた。しかし、それぞれのワクチンにどんな効能やリスクがあるのか、知ったうえで受けるか、あるいは受けないか、情報の有無が自分や子どもの人生を大きく左右することもある。
「定期接種」は義務で「任意接種」は義務ではないと勘違いしている人が多いけれど、現在、日本で行われているすべての予防接種は「義務」ではないという。1994年の予防接種法の改訂で、国が強制的に行う国民の義務という形を廃止し、国民が受けるように努めるという「努力義務」に変わったらしい。改訂前の強制接種の時期には、予防接種後に何か問題が生じた場合は国に責任があったので、予防接種後の裁判ではほぼ国が全敗している状態だったが、予防接種法の改正により、予防接種を受けるかどうかの判断(責任)は国から両親や保護者に移ったという。予防接種を受けるように努めなければならないという「努力義務」は「義務」とは異なり、受けなかったとしても罰則などの規定は一切ないそうだ。ところが、ワクチンについて正確な情報を与えなければならない立場にある医師、看護師、助産師、保健師、教師などもこのことをよくわかっていないことがあるらしく、学校などで気苦労されている方も多いのではないかと思う。
本間さんは、一概に予防接種を受けることを否定しているわけではないという。
勉強する際に注意すべきこととして、論文に書いてあるから必ずしも科学的で正しいというわけでもなく、権威がある、有名である、同意する意見が多い、今までそうだから…というのは科学的ではない、という。
そして、次のようなことがさらっと書かれている。
予防接種の反対派の意見には、確認できない情報をたくさん集めて説明している場合も多いが、本書では可能な限り確実な情報だけをまとめているという。
医学的な知識のバックグラウンドのない人が勉強する際、論文すらアテにならないのなら、何をもって確実な情報とするかは非常に難しいところである。なるべく一次情報に近いところまでさかのぼる努力をするとともに、それを主張する人間がどんなバックグラウンドを持ち、どんな目的や願いや持つとともに、どんな制限を抱え、どれだけ信頼でき誠実な人間かを推し量る第六感的な判断も必要になってくるだろうと思う。
一概にワクチンといっても何種類もあり(ジフテリア、ポリオ、日本脳炎、風疹、おたふく、水ぼうそう、肺炎球菌、インフルエンザ、BCG、子宮頸がんなど)それぞれのワクチンのことを一から自分で勉強するとなるとかなり大変だ。本書ではそれぞれのワクチンのことについて簡潔にまとめてくれており、「必要性のない/低い予防接種」「人に移すことを気にしなくていい感染症」といった具合に分類してくれていて、いざ予防接種をすべきかどうか判断する必要が生じたときにすぐに参照し、自分でも調べてみるとっかかりになる。
ワクチンに含まれるものについても書かれていて、防腐剤として水銀、ホルムアルデヒドなどのほか、動物や人の細胞、動物や人の血液、細胞の培養液、抗生剤などが挙げられていて、読んでいて恐ろしくなった。培養栽培は、未知のものも含めて多くのウイルスに汚染されている可能性があることも指摘されているらしい。
また、ワクチンの副作用は短期の副作用と長期の副作用があるが、後者については、ワクチン接種から時間が経てば経つほどワクチン接種と副作用との間の因果関係が証明できなくなり、因果関係がわからないという理由で、ワクチン接種後28日以降に発生した副作用のほとんどが「予防接種との関連は不明、もしくはない」とされてしまうらしい(BCGだけは例外的に、28日以降に発生したものも副作用として考慮される)。したがって、ワクチンの長期の副作用についてはほとんど解析されておらず、報告や論文もとても少なく、たとえ報告されてもほとんどの医師は注目せず、長期の副作用など無いという認識になってしまうという。
本書を読んでいると、自分や身近な人の健康を守るには、受け身ではままならず、自分で勉強し、なるべく幅広く確実な知識を集めていくことが大事だという認識を強めた。この本が一家に一冊あり、多くの人が目を通していれば、世の中から病が減っていくだろうと思った。特に、これから長い人生を生きていき、身体の基礎をつくっていく小さなお子さんのいる親が知っておいてよかったと思える情報の詰まった本だと思う。
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by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto)
本間さんは、小児科を専門とされ、西洋医学の医師免許を持つ医師。札幌医科大学医学部を卒業した後、大学付属病院をはじめ北海道内の中核病院をまわりながら小児科医として勤務されたり、米国の国立衛生研究所(NIH)に留学してロタウイルスワクチンの開発に携わったり、帰国後は札幌医科大学付属病院の新生児集中治療室(NICU)室長を務めるといった経歴を持つ。その後、ご自身の考えるより深い医療を追求するために、大学病院を退職して栃木県那須烏山市に移住し、七号診療所に赴任されて現在、所長を務める。
かつて、本間さんは西洋医学を一日も早く究め、薬や注射などを駆使して病気に対処するのが最善と考えていたが、西洋医学は実際には、症状をとったり検査の値を良くする対処療法がほとんどで、そもそも病気にならないように指導したり健康を増進することについてはまったく考慮しておらず、病気や健康上の問題を抱えた子どもたちは右肩上がりに増え続けているのが現状だという。
そこで私は、西洋医学にこだわることなく、よりグローバルに大きな視点から、病気や健康について根本的に考え直そうとしたのです。つまり、人がなぜ病気になるのか、病気とは何なのか、病気が治るためにはどうすればいいのか……などについて、ありとあらゆる側面からより極めたいという、自分の本当の望みを突き詰めていったのです。(p.4)
本間さんは自然の仕組みを理解するために、自然農による作物の栽培を開始し、現在では米や野菜などをほぼ自給自足でまかなっているほか、ご自分でつくられた麹菌などで味噌、醤油、酢、納豆、甘酒などの調味料や発酵食品をつくられているという。
そうした暮らしについては、下の本で紹介されている。
「病気にならない食と暮らし」(本間真二郎 著)
そのような自然に沿った生活をされるなかで、「すべての病気は、自然から離れた日常生活(食事、生活、メンタル)にある」というシンプルな結論に達し、そのことを伝える活動も開始されたという。
西洋医学は西洋医学の範囲内では決して間違っていませんし、役に立つこともたくさんあります。しかし、西洋医学的な考え方だけが正しいわけではなく、他にもたくさんのアプローチ法があるのです。
実際に違う視点から眺めてみると、西洋医学は、かなり視野の狭い考え方が多いことに気がつきます。たとえば、病気を治すのに最も大切なのは自然に治ろうとする力=自然治癒力ですが、医学部の教育では、この最も大切な自然治癒力について詳しく学ぶ機会はありません。
また、すぐに症状をとることや目先の問題を解決することが、生涯にわたって健康を維持することと同じであるとは限らないのです。
本書は、次のように構成されている。
第1部 暮らし
第1章 衣食住
第2章 毎日の生活
第2部 体と心
第3章 妊娠前、妊娠中の過ごし方
第4章 母乳、人工乳、離乳食、成長発達
第5章 アレルギー
第6章 ワクチン、感染症
第7章 心
第8章 病気とホームケア
全部で400ページ近くあり、結構ずっしりとした一冊。ひと通り読んでおけば、いざという時に大事な判断の材料となる情報がたくさん掲載されている。
「自然派」の本には、西洋医学を頭ごなしに否定するような感じのものも多いが、西洋医学を深く学び、実践されてきた本間さんの視点は幅広い。
ワクチンのリスクについて、最近ではよく情報を見かけるようになったが、ぼくが子どもの頃は、そういう話を全く聞いたことがなく、何の心配もせずにポンポン打たれていた。しかし、それぞれのワクチンにどんな効能やリスクがあるのか、知ったうえで受けるか、あるいは受けないか、情報の有無が自分や子どもの人生を大きく左右することもある。
「定期接種」は義務で「任意接種」は義務ではないと勘違いしている人が多いけれど、現在、日本で行われているすべての予防接種は「義務」ではないという。1994年の予防接種法の改訂で、国が強制的に行う国民の義務という形を廃止し、国民が受けるように努めるという「努力義務」に変わったらしい。改訂前の強制接種の時期には、予防接種後に何か問題が生じた場合は国に責任があったので、予防接種後の裁判ではほぼ国が全敗している状態だったが、予防接種法の改正により、予防接種を受けるかどうかの判断(責任)は国から両親や保護者に移ったという。予防接種を受けるように努めなければならないという「努力義務」は「義務」とは異なり、受けなかったとしても罰則などの規定は一切ないそうだ。ところが、ワクチンについて正確な情報を与えなければならない立場にある医師、看護師、助産師、保健師、教師などもこのことをよくわかっていないことがあるらしく、学校などで気苦労されている方も多いのではないかと思う。
本間さんは、一概に予防接種を受けることを否定しているわけではないという。
すべての予防接種にはメリットとデメリットがあり、何をメリットとし、何をデメリットとするのかは人により異なるのが当たり前だからです。人には知識や経験、立場、考え方に様々な違いがあり、それにより出てくる結論が異なります。ですから、たとえば私がどんなに勉強したからといって、それは私が考えるメリット・デメリットであって、決して強制することはできないということです。
そのため、予防接種を受けるかどうかを決めるためには、人から聞くだけでなく、まず自分たちで勉強をしてくださいとお伝えしています。勉強した上で、メリットがデメリットを上回っていると思えば受ければ良いし、デメリットがメリットを上回っていると思えば受けなくても良い。つまり当たり前のことを当たり前にすることであり、決して強制されるものではありません。(p.259-260)
勉強する際に注意すべきこととして、論文に書いてあるから必ずしも科学的で正しいというわけでもなく、権威がある、有名である、同意する意見が多い、今までそうだから…というのは科学的ではない、という。
論文を読む時に、いくつか注意するべきことを書いておきます。まず、事実だけが述べられているのが論文ではありません。統計を使って解析することが科学論文では求められますが、このことがかえって意味をわかりづらくすることがあります。結論だけでなく、考察でどのようにでも結論を誘導できます。論文や雑誌には審査する人がおり、その人の意向に左右されます。(p.260)
そして、次のようなことがさらっと書かれている。
研究者の間では常識ですが、現在は残念ながら論文の改ざんはある意味当たり前になっています。もちろん、真面目に行っている研究者もたくさんいますが、一般の医師や専門家であっても改ざんがあるかないかを判断することが非常に困難ということです。(p.260-261)
予防接種の反対派の意見には、確認できない情報をたくさん集めて説明している場合も多いが、本書では可能な限り確実な情報だけをまとめているという。
医学的な知識のバックグラウンドのない人が勉強する際、論文すらアテにならないのなら、何をもって確実な情報とするかは非常に難しいところである。なるべく一次情報に近いところまでさかのぼる努力をするとともに、それを主張する人間がどんなバックグラウンドを持ち、どんな目的や願いや持つとともに、どんな制限を抱え、どれだけ信頼でき誠実な人間かを推し量る第六感的な判断も必要になってくるだろうと思う。
一概にワクチンといっても何種類もあり(ジフテリア、ポリオ、日本脳炎、風疹、おたふく、水ぼうそう、肺炎球菌、インフルエンザ、BCG、子宮頸がんなど)それぞれのワクチンのことを一から自分で勉強するとなるとかなり大変だ。本書ではそれぞれのワクチンのことについて簡潔にまとめてくれており、「必要性のない/低い予防接種」「人に移すことを気にしなくていい感染症」といった具合に分類してくれていて、いざ予防接種をすべきかどうか判断する必要が生じたときにすぐに参照し、自分でも調べてみるとっかかりになる。
ワクチンに含まれるものについても書かれていて、防腐剤として水銀、ホルムアルデヒドなどのほか、動物や人の細胞、動物や人の血液、細胞の培養液、抗生剤などが挙げられていて、読んでいて恐ろしくなった。培養栽培は、未知のものも含めて多くのウイルスに汚染されている可能性があることも指摘されているらしい。
また、ワクチンの副作用は短期の副作用と長期の副作用があるが、後者については、ワクチン接種から時間が経てば経つほどワクチン接種と副作用との間の因果関係が証明できなくなり、因果関係がわからないという理由で、ワクチン接種後28日以降に発生した副作用のほとんどが「予防接種との関連は不明、もしくはない」とされてしまうらしい(BCGだけは例外的に、28日以降に発生したものも副作用として考慮される)。したがって、ワクチンの長期の副作用についてはほとんど解析されておらず、報告や論文もとても少なく、たとえ報告されてもほとんどの医師は注目せず、長期の副作用など無いという認識になってしまうという。
本書を読んでいると、自分や身近な人の健康を守るには、受け身ではままならず、自分で勉強し、なるべく幅広く確実な知識を集めていくことが大事だという認識を強めた。この本が一家に一冊あり、多くの人が目を通していれば、世の中から病が減っていくだろうと思った。特に、これから長い人生を生きていき、身体の基礎をつくっていく小さなお子さんのいる親が知っておいてよかったと思える情報の詰まった本だと思う。
【関連記事】
by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto)