『食いしばりをなくせば頭痛・肩こり・顎関節症はよくなる!』(西村育郎 著)を読んで。原因不明の症状が治るかも?

『食いしばりをなくせば頭痛・肩こり・顎関節症はよくなる!』(西村育郎 著)という本を読んだ。



ぼくは寝ているときに食いしばりや歯ぎしりをすることがあり、数年前、寝ている間にあまりに強く食いしばって口が開かなくなり(小豆くらいしか入らなくなった…)、大変な目にあったこともある。ストレスが少ないときはそれほどでもないけれど、歯ぎしりには悩まされており、書店でたまたまこの本を見かけて買って帰った。

昨今、「不定提訴」で悩む方が急増しているらしい。「不定提訴」とは、明らかに身体に不調をきたしているのに検査をしても何の異常も見つからない状態をいうらしく、その症状は多岐にわたり、たとえば、慢性的な倦怠感や疲労感、頭痛、関節痛、筋肉痛、頭重感、耳鳴り、動悸、めまい、肩や首の凝り、顔の紅潮、腰痛、不眠や眠りが浅いなどの睡眠障害、イライラ、手足の熱感、頻脈、目や口の渇き、吐き気、などらしい。ありとあらゆる症状が含まれそうだ…。ぼくは関節を痛めやすく、食いしばりや歯ぎしりが関係しているのかもしれないと思った。

こうした不定提訴の原因として、一般的には「食いしばり(歯ぎしり)」「噛み合わせ」「精神的問題」「生活習慣」という大きく4つの原因が考えられているらしく、著者の西村さんはその中でも「食いしばり」が最大の原因だと考えているという。というのも、西村さんの歯科医院(医療法人西村歯科)では、食いしばりを直すことでほとんどの人の不定提訴が消えているという。

ぼくは夜だけで日中は食いしばっていないと思っていたが、本書によると、日中に上下の歯が接触しているだけでもよくないようだ。それを知って、その後、普通に暮らしながら時々歯を意識してみると、集中力が必要なときなど、無意識のうちに上下の歯を接触させていることがわかった。それに気づいて慌てて歯を離す。日中、食事のとき以外、意識して上下の歯を離していると、たしかに顎がラクになってきたように感じた。

西村歯科では、昼用マウスピースと夜用スプリント(特別に考案されたマウスピースのようなもの)を用いて食いしばり(歯ぎしり)の治療を行っているそうだが、ひとまず、日中に上下の歯を離すように意識するだけでも効果がありそうだ。日中に歯を離すことを自分の体に言い聞かせていると、夜も食いしばり(歯ぎしり)をしにくくなってきたように思う。

西村式治療では、治療効果を高める指導として、「前歯で噛む正しい噛み方を覚える」というのと、「正しい舌の位置を覚える」というのも紹介されている。

大多数の人が無意識に行っている噛み方は、主に片側の奥歯を使って噛む「奥噛み」だという。たしかに、そう言われてみて気づいたが、ぼくは口の中にいれた食べものをいきなり奥歯で噛んでいた。片側に調子のわるい歯があると、反対側で噛むクセがつき、いつの間にか片側の奥歯ばかりで噛むクセがついてしまっていたようだ。最近、歯の治療をしてどちらでも噛めるようになっていたのに、奥歯でばかり噛み続けてしまっていた。本書では、前歯を正しく使う「前噛み」の方法が図付きでわかりやすく紹介されている。

日常での「前噛み」の練習は、次のように行うといいらしい。

①下顎を前のほうへ、終点部付近まで滑走させ、前歯の切端どうしで噛みます。舌は動かさないようにします
②食べものを少しずつ後ろの歯に送りながら、噛みます。小臼歯までは、左右両側で均等に噛みます
③十分に噛み砕いてから、最後に大臼歯で噛みます。このときは、片側で噛んでもかまいません

コツは、ひと口の分量を少なめにすることだという。

この方法で噛んでみると、いつもよりも噛む効率もいいようで、食べものがすぐに砕けるし、お米の味が普段よりよくわかるようになって驚いた。噛み方というのは、いつの間にか身についておかしな噛み方もクセになるもので、ちゃんとした噛み方を教えてくれる人は普段なかなかいない。初めて知って、そういうものかー、と今さらの大きな気づきだった。子どもの頃、歯が健康な頃はそういう噛み方をしていたのかもしれない。

治療効果を高める指導の二つ目は、「正しい舌の位置を覚える」こと。舌は歯の裏などではなく、上顎(舌でさわってわずかに膨らんでいる部分)についているのが正しい状態だという。この位置にあると、鼻呼吸になり、鼻が通りやすくなるらしい。これも初めて知って驚いたが、舌の位置で顎の大きさも変わってくるという。上顎に舌があると上顎が大きくなり、その反対に下顎に舌があると下顎が大きくなる、というように、舌の位置によって顎の大きさが変わり、それに伴って歯並びまで変わってくるらしい。舌を本来の位置に戻すには、口を大きく「あ~」「い~」「う~」「べ~」と動かす「あいうべ体操」が効果的だという。

(「あいうべ体操」は、下の本で詳しく紹介されている↓)



歯は全身と関連している。本書では、正しい姿勢、正しい歩き方、足の正しい重心についても書かれ、足の指に筋肉をつけて正しい姿勢をとれるようにする「ひろのば体操」や「つま先立ちトレーニング」などのエクササイズや、寝覚めをすっきりさせ呼吸をラクにする枕のつくり方なども紹介されている。

夜の歯ぎしりはどうしても止められないと半分あきらめていたが、ここで紹介されている方法を実践していると改善する希望が見えてきた。


【関連記事】:

by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto