『名医は虫歯を削らない ー虫歯も歯周病も「自然治癒力」で治す方法』(小峰一雄 著)という本を読んだ。
ぼくは子どもの頃から甘いものが好きで、チョコ菓子を毎日のように食べていたので、当然、虫歯がたくさんできた。
子どもの頃、歯医者で何度も治療を受けたが、砂糖の食べ過ぎだとは思わず、控えたほうがいいと思ったころすらなかった。甘いお菓子は誰もが当たり前のように食べるもので、虫歯になるのは運がわるかったのだと思っていた。
ところが、そんな食生活を続けていると、砂糖を食べると歯茎が腫れるようになり、もう食べられなくなった。砂糖をやめると、歯茎の状態が改善し、身体全体の調子がよくなった。歯医者に行っても虫歯が悪化するばかりでどうしようもなく思っていた歯がそれ以上わるくならなくなった。
本書でも、砂糖の弊害が詳しく紹介されている。アメリカの臨床栄養学博士であるナンシー・アップルトン氏がまとめた「124 Ways Sugar Ruins Your Health(砂糖があなたの健康を損ねる124の理由)」というレポートがあるらしく、それによると、砂糖は虫歯や歯周病の原因になる他、ミネラルの吸収障害、子どもの不安・集中困難・気むずかしさなど、伝染病に対する防御力低下、組織の弾力低下、視力低下、低血糖症、早老、肥満、関節炎、喘息、多発性硬化症、痔、骨粗鬆症、成長ホルモンの減少、眠気ややる気の低下、食物アレルギー、糖尿病、湿疹、心血管疾患、白内障、便秘、頭痛、学習障害、心の落ち込み、消化不良、アルツハイマー、めまい、ガン、早産などの原因になるという(これはほんの一部で、124あるそうなので、あらゆる病気の元になっているのではないかと思うくらいである)。
本書では、シュガー・コントロールを行って患者さんに砂糖の摂取を控えてもらったところ、体調が改善した例がいろいろ紹介されている。これは自分の身体で体験済みなので、どれだけ劇的に体調が改善したとしても驚かないくらい、砂糖の弊害は大きいと思う。
「糖反射」というのがあり、東京大学の研究によると、人間は砂糖を摂ると胃と十二指腸の働きが一時的にストップするらしい(こういう話は初めて知った)。食前に砂糖を摂っていれば、ビタミンやミネラルなど必要な栄養を吸収することができず消化不良を起こし、体に大きな負担になるという。
「象牙質の液体移送システム」についても、この本で初めて知った。アメリカのラルフ・スタイマン博士による論文で、「体を流れている物質はやがて歯の神経を通り、歯の表面に出てくる」ことが実証されているらしい。また、体内から口の中へと液体が運ばれていく流れが、内分泌系の機能低下や偏った食生活、ストレスによって滞ったり、逆流したりすることもあると分かったという。
歯の表面には虫歯が見られないのに奥のほうでできていることがあり、それは体の内側からできた虫歯なのだろう。虫歯は歯の表面から進んでいくという考えではこのような虫歯は説明できず、歯科医の現場ではよく見られることなのに、この虫歯がどのように進んだ結果なのかを追求する人はあまりおらず、歯科大学でも教えていないため、疑問すら持たないのではないかという。
スタイマン博士は、「象牙質液体移送システム」の逆流や停滞を引き起こす原因として、砂糖、ストレス、運動不足、微少栄養素不足、薬物を挙げているらしい。
つまり、どれだけ熱心に歯磨きをして、歯の表面をピカピカにしていても、これらの原因を絶たなければ虫歯になる可能性があるという。
とはいえ、もちろん歯磨きも大事。歯磨きは食後すぐにしないほうがいいという情報を時々見かけるが、その理由について本書ではこう説明されている。
本書では、歯の自然治癒を促す「ドックベスト療法」という方法も紹介されている。アメリカのドックさんという方が考案した治療法で(Doc's Best Cement)、成分には殺菌作用のある銅2%と鉄1%、それに複数のミネラルが含まれ、虫歯の穴に詰めることで、虫歯菌を死滅させ、歯の再石灰化を促してくれるという(その効果は半永久的に持続するらしい)。ぼくが通っている歯科医院でもドックベスト療法が行われており、その治療を受けたことがある。あまり大きすぎる虫歯にはうまくいかなかったが、小さめの虫歯は今のところその方法で順調に治療が進んでいる。ドックベスト療法は今のところ保険対応ではなく、実施している歯科医院も限られているが、巻末にドックベスト療法を実践する歯科クリニック一覧が掲載されている。ただし、現状ではドックベスト療法の正しい技術を習得できていない歯科医もいるそうで、技術を習得するための講習会に参加している歯医者に行くことをおすすめされている。
日本ではコンビニと同じくらいの数の歯医者があると何かで読んだことがある。歯や食事のことを勉強していると、その理由がよくわかる。砂糖だらけの食事をしていると虫歯はたいてい避けられないし、歯を削るばかりの治療では虫歯はなかなか治らず、歯医者に通い続けることになってしまう。
この本に書かれているような情報がもっと広まればいいのにと思う。
【関連記事】
by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto)
ぼくは子どもの頃から甘いものが好きで、チョコ菓子を毎日のように食べていたので、当然、虫歯がたくさんできた。
子どもの頃、歯医者で何度も治療を受けたが、砂糖の食べ過ぎだとは思わず、控えたほうがいいと思ったころすらなかった。甘いお菓子は誰もが当たり前のように食べるもので、虫歯になるのは運がわるかったのだと思っていた。
ところが、そんな食生活を続けていると、砂糖を食べると歯茎が腫れるようになり、もう食べられなくなった。砂糖をやめると、歯茎の状態が改善し、身体全体の調子がよくなった。歯医者に行っても虫歯が悪化するばかりでどうしようもなく思っていた歯がそれ以上わるくならなくなった。
本書でも、砂糖の弊害が詳しく紹介されている。アメリカの臨床栄養学博士であるナンシー・アップルトン氏がまとめた「124 Ways Sugar Ruins Your Health(砂糖があなたの健康を損ねる124の理由)」というレポートがあるらしく、それによると、砂糖は虫歯や歯周病の原因になる他、ミネラルの吸収障害、子どもの不安・集中困難・気むずかしさなど、伝染病に対する防御力低下、組織の弾力低下、視力低下、低血糖症、早老、肥満、関節炎、喘息、多発性硬化症、痔、骨粗鬆症、成長ホルモンの減少、眠気ややる気の低下、食物アレルギー、糖尿病、湿疹、心血管疾患、白内障、便秘、頭痛、学習障害、心の落ち込み、消化不良、アルツハイマー、めまい、ガン、早産などの原因になるという(これはほんの一部で、124あるそうなので、あらゆる病気の元になっているのではないかと思うくらいである)。
本書では、シュガー・コントロールを行って患者さんに砂糖の摂取を控えてもらったところ、体調が改善した例がいろいろ紹介されている。これは自分の身体で体験済みなので、どれだけ劇的に体調が改善したとしても驚かないくらい、砂糖の弊害は大きいと思う。
「糖反射」というのがあり、東京大学の研究によると、人間は砂糖を摂ると胃と十二指腸の働きが一時的にストップするらしい(こういう話は初めて知った)。食前に砂糖を摂っていれば、ビタミンやミネラルなど必要な栄養を吸収することができず消化不良を起こし、体に大きな負担になるという。
「象牙質の液体移送システム」についても、この本で初めて知った。アメリカのラルフ・スタイマン博士による論文で、「体を流れている物質はやがて歯の神経を通り、歯の表面に出てくる」ことが実証されているらしい。また、体内から口の中へと液体が運ばれていく流れが、内分泌系の機能低下や偏った食生活、ストレスによって滞ったり、逆流したりすることもあると分かったという。
歯の表面には虫歯が見られないのに奥のほうでできていることがあり、それは体の内側からできた虫歯なのだろう。虫歯は歯の表面から進んでいくという考えではこのような虫歯は説明できず、歯科医の現場ではよく見られることなのに、この虫歯がどのように進んだ結果なのかを追求する人はあまりおらず、歯科大学でも教えていないため、疑問すら持たないのではないかという。
スタイマン博士は、「象牙質液体移送システム」の逆流や停滞を引き起こす原因として、砂糖、ストレス、運動不足、微少栄養素不足、薬物を挙げているらしい。
つまり、どれだけ熱心に歯磨きをして、歯の表面をピカピカにしていても、これらの原因を絶たなければ虫歯になる可能性があるという。
とはいえ、もちろん歯磨きも大事。歯磨きは食後すぐにしないほうがいいという情報を時々見かけるが、その理由について本書ではこう説明されている。
実は食事をして歯に付いた酸性の食べものは、歯の表面にあるエナメル質をやわらかくする性質があります。しかし唾液には口の中を中和し、エナメル質を再び修復する再石灰化の作用があるため、30分も経てば元の状態に戻ります。
ところが食後すぐに歯を磨いてしまうと、まだやわらかいエナメル質が削り取られるばかりか、再石灰化も途中で妨げられることになります。その結果、エナメル質に穴が開いてしまうのです。そのため私は、食後すぐではなく、30分以上経ってからの歯磨きをおすすめしています。(p. 58)
本書では、歯の自然治癒を促す「ドックベスト療法」という方法も紹介されている。アメリカのドックさんという方が考案した治療法で(Doc's Best Cement)、成分には殺菌作用のある銅2%と鉄1%、それに複数のミネラルが含まれ、虫歯の穴に詰めることで、虫歯菌を死滅させ、歯の再石灰化を促してくれるという(その効果は半永久的に持続するらしい)。ぼくが通っている歯科医院でもドックベスト療法が行われており、その治療を受けたことがある。あまり大きすぎる虫歯にはうまくいかなかったが、小さめの虫歯は今のところその方法で順調に治療が進んでいる。ドックベスト療法は今のところ保険対応ではなく、実施している歯科医院も限られているが、巻末にドックベスト療法を実践する歯科クリニック一覧が掲載されている。ただし、現状ではドックベスト療法の正しい技術を習得できていない歯科医もいるそうで、技術を習得するための講習会に参加している歯医者に行くことをおすすめされている。
日本ではコンビニと同じくらいの数の歯医者があると何かで読んだことがある。歯や食事のことを勉強していると、その理由がよくわかる。砂糖だらけの食事をしていると虫歯はたいてい避けられないし、歯を削るばかりの治療では虫歯はなかなか治らず、歯医者に通い続けることになってしまう。
この本に書かれているような情報がもっと広まればいいのにと思う。
【関連記事】
by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto)