ネットワークビジネスに誘われそうになった話。人間を堕落させる金儲けには興味なし

「ネットワークビジネス」や「ネズミ講」と呼ばれるようなものはやったことがないしやろうとも思わないけれど、一度、そういうことに取り組んでいる人との接触があった。

もう10年以上前のこと。とあるボディワークのようなものを受けていて、その施術者が、時々お金儲けのことをちらつかせる。ベッドの横の本棚には自己啓発系の本がずらりと並んでいる。

施術が終わったあと、その近所で評判の飲食店に一緒に行こうと誘われたが、どうもあやしい予感がしたので断った。

あるとき、その方が、一億円以上貯金ができた、と言った。ぼくはお金儲けには興味がなかったので、「あ、そうですか」というような反応だった。実際、うらやましいともすごいとも思わなかった。施術中になんでそんな関係のない話をするのだろう、といぶかしく思った。この方はお金に目がくらんで、施術に身が入っていないのではないかと不安に思った。

そんなことが重なって、まとめて購入した施術券が残っているのに、気が進まなくなって行かなくなった。

それから数年後、図書館でたまたま手に取った雑誌に、その施術者が名前と写真入りで載っていた。ボディワークの施術者としてではなく、ネットワークビジネスで大金を稼いだ人物として取り上げられていた。そのときまで、その方がネットワークビジネスをしているとは考えたこともなかったが、「やっぱりなー!」という感じがした。直感に従って、行かなくなってよかったと思った。

「ネットワークビジネス」といってもいろいろあるのだろうけど、詳しくもないわけだけど、どうも気持ちわるい。本人たちは悪いことをしているつもりはなく、犯罪なわけでもないのだろうけど、そういうことに熱心になっている方たちの姿を見れば、それが人間にとって善いものかそうでないものかは直感的に感じられる。東京で暮らしていた頃、よく名前を聞くようになったネットワークビジネスに取り組んでいる人たちを紹介している本をパラパラとめくってみると、胸が気持ちわるくなるような顔ばかりで、文章を読まなくても、これは善くないものだとわかった。

自分さえよければ、あるいは限られたグループだけ得すればいい、という類のビジネスは人間を堕落させる。たまたま成功してお金がたくさん得られたところで、大した幸福感は得られないだろうと思う。

この世の中、まともな仕事をまじめにしていても充分なお金が得られにくい仕組みになってしまっているのが問題だ。人間全体がどれだけ幸福に向かうかに応じて富を分配したほうがもっと生きやすい世の中になるだろうと思う。


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by 硲 允(about me)