「直感力」(羽生善治 著)を読んで。

棋士の羽生善治さんの「直感力」という新書を読みました。




将棋は子どもの頃に少し触った程度で、ルールをちゃんと覚えるところまでもいきませんでした。棋士たちが将棋を指すときに頭がどう動いているのか、興味深いところで、この本を読むと、なんとなく想像できて面白かったです。もちろん、論理的に先を読んで考えているわけですが、大事なのは直感力で、それは経験を重ねて熟練してくると養われていくもののようです。若いときは定石を覚えたり、論理的に高めていくことを重視するようで、どんな分野でも、通常、そういう上達の道筋をたどることが多いのではないだろうかと思います。直感が大事だからといって、論理的な思考や知識をおろそかにして気合や気持ちだけでいこうとしても、たかだかしれています…。

「詮索癖」のあるぼくには、「相手を研究するより自分の型」という章が印象に残りました。羽生さんはかつて、対戦する相手の棋譜を一年分くらい調べたりしていたこともあったそうですが、過去の棋譜を調べたところでいたずらに心配の種を増やすだけだということに気がついてやめたそうです。

相手のことを研究するよりも、自分の作戦や型を充実させておいたほうがいい。自分のやり方を求めていくほうが対応しやすいのではないか。相手がこう出てくるからこうしよう、というのではなく、自分はこうするのだということを、きっちり押さえておいたほうがいい。
そうすれば、相手に誰がやってこようとも対応できる。だからそのほうがいいのではないかと、途中からは考えるようになったのだ。(「直感力」羽生善治 著 p. 108)

このブログでもアウトプットの重要性についていろいろ書いていますが、「インプット以上にアウトプットを」という章も興味深く読みました。

その冒頭の文章で、知識や情報の役割について簡潔に書かれています。

過去の知識や情報は、すべて素材だ。それらは、次の新しいものを創造する素材として利用されるためにある。過去の素材であっても、適切に組み合わせれば、新しい料理をつくることができるのだ。(「直感力」羽生善治 著 p. 108)

「ブログ、ツイッター、フェイスブックなどのSNSをやることも効果があるだろう」とも書かれています。SNSは余程注意して使わないとインプット過多になりやすいですが、うまく使えばアウトプットのいい機会になります。ぼくもブログをなるべく毎日更新することが、アウトプットの比率を増やすことにずいぶん役立っています。


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by 硲 允(about me)