ストロング系チューハイの危険性について

チューハイを最後に飲んだのは大学生の頃だろうか。醸造アルコールを飲むと頭が痛くなることがわかり、蔵付き菌などで自然に発酵させたお酒以外はなるべく口にしなくなり、砂糖もNGになったので、チューハイを飲むことはなくなり、お店でもチューハイコーナーに立ち寄ることがなくなったので、「ストロング系チューハイ」なるものの存在をこの記事で初めて知った。

ストロング系チューハイに薬物依存研究の第一人者がもの申す 「違法薬物でもこんなに乱れることはありません」(BuzzFeed News)

この記事は、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部長、薬物依存症センターセンター長の松本俊彦氏のFacebookでの投稿から始まる。

ストロングZEROは「危険ドラッグ」として規制した方がよいのではないか。半ば本気でそう思うことがよくあります。私の臨床経験では、500mlを3本飲むと自分を失って暴れる人が少なくありません。大抵の違法薬物でさえも、使用者はここまで乱れません。
結局あれは「お酒」というよりも、単に人工甘味料を加えたエチルアルコール=薬物なのです。そして、ジュースのような飲みやすさのせいで、ふだんお酒を飲まない人や、「自分は飲めない」と思い込んでいる人でもグイグイいけます。そうした人たちが、ビールの倍近い濃度のアルコールをビール並みかそれ以上の早いペースで摂取すればどうなるのか。ただでさえ人類最古にして最悪の薬物といわれているアルコールですが、その害を最大限に引き出す危険な摂取法です。
お酒はお酒らしい味をしているべきであり、公衆衛生的アプローチを考えれば、本来、酒税は含有されるアルコール度数の上昇に伴って傾斜すべきです。それなのに、「税収ありき」の国の二転三転する方針にメーカーが追い詰められて、確実におかしな事態を引き起こしています。

お酒を楽しむために飲むのではなく、酔うために飲み、実際、ストロング系チューハイで酩酊した後に、リストカットやオーバードーズ(過量服薬)することも多いという。

本物のお酒を知っている人からすれば、こういうものはまともなお酒ではないということはわかるし、飲んでいる人たちもそれをわかりながら、半ばやけくそになって飲んでいるのだろう。

お酒や薬物に頼らずに暮らしていけるようにするには根本的な解決策が必要だと思うけれど、安く簡単に手に入れられるところにこういう危険な薬物まがいの商品が存在することは問題だと思う。

ヨーロッパでは北と南でお酒の飲み方が違うという話も興味深かった。

イタリア、スペイン、フランスなどの南のほうの国々では、平日の夜、食中酒としてワインやビールを楽しむ一方、北のほうの国々では、平日の食事のときには水を飲み、週末にハイになるために蒸留酒をがぶがぶ飲む傾向があるという。その結果、南方では肝硬変などの内臓疾患が多く、北方では自殺や暴力事件とか、飲酒運転による事故、ドメスティックバイオレンス、児童虐待が多いとの話。

この傾向を裏付ける話として、フィンランドでは、自殺を減らすために、南の国々のようなスタイルに変えたところ(EU加盟と同時に、度数の少ないお酒の酒税を下げて、度数の高いものは上げた)、自殺率は下がったが、肝硬変の罹患率は倍になったという。

日本の場合、ストロング系チューハイのようなものを安く買えるような酒税になっているのは問題だろう。お酒の危険性について改めて考えさせられる記事だった。


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by 硲 允(about me)