会食

このご時世、会食というのもしづらくなった。

といっても、ぼくはもともと、会食をすることがほとんどなくなった。砂糖や動物性食品を食べなかったり、農薬や食品添加物や放射性物質の摂取を避けたい、となると、外食できるお店はかなり限られてくる。

そもそも、食べながら話すというのが苦手である。食べるときは食べることに集中したい。最近、アーユルヴェーダを学んでいると、食事のときは、食べものの見た目、匂い、舌触り、噛んだときの音などを五感を使ってよく味わい、今食べているものに意識を集中すべきだという話がよく出てくる。おしゃべりに夢中になると、食べるほうへの意識が疎かになり、いつの間にか食べ終わっていて食べた気がしない、ということが起こる。そういうときは、食べものをよく噛めていないので、お腹の調子もよくない。長い会食で、だらだらと長時間食べ続けるのも消化によくない。

会食というのは誰が始めたのか、なぜこんなに一般的になったのか知らないけれど、謎の風習である。食べながらだと気分がよくなって話が弾むのだろうか。いそがしすぎて、食べるときくらいしかゆっくり話す時間がないのだろうか。

食べるものが限られてくると、会食を楽しむのが特に難しくなってきて、それが残念だったり面倒だったりすることもあるが、ぼくの場合、家族と食の好みが合うのは幸いである。家族の間で食の好みや食べられるものが異なれば、それぞれ食べたいものをつくればいいだろうと思うけれど、キッチンが一つだと取り合いになって大変なことになりそうだ。