何を見て暮らすか。

普段、何を見て過ごすか。それが自分の美的感覚やセンスを大きく左右するのだと、思うことが時々あります。

家と畑の行き来ばかりして過ごしていて、久しぶりに街に出ると、カタチや色の「けばけばしさ」にうんざりすることがあります。派手な色や奇抜なカタチが無秩序に散りばめられていると、見ていて疲れるものです。

ところが、しばらくそういうものを見続けていると、目が順応してくるものです。街に出てきたばかりの時ならいいと思わなかったであろうモノまでよく見えてきたりして、面白いものです。そんなときに買い物をすると後悔することになりそうなので、街に目が慣れる前に見て、ほんとうにいいと思うかどうかを自分の心にきいて確かめなければと、用心します。

東京から香川に移住した1年目は、ほとんど草刈りばかりして田畑で過ごしました。街に出る暇もなく、お米づくりがようやく終わったあと、ずいぶん久しぶりに街なかのスターバックスに入ると、その「アーバン」な雰囲気に圧倒されてドギマギしたものです。前まではなんとも思わなかったのに、しばらく植物や虫や大地や空ばかり見て過ごしていると、そんなに感覚が変わるものなのだと、驚きました。

今の自分に嫌気が差して変化したくなったら、暮らす環境を一気に変えてみる、というのは手っ取り早い方法かもしれません。