「ゼロから始める都市型狩猟採集生活」(坂口恭平 著)を読んで

「ゼロから始める都市型狩猟採集生活」(坂口恭平 著)という本を読んだ。



時間を奪われ、場所に縛られ、気の向かないことをして日々を過ごしていくくらいならホームレスになったほうがいい、と意気込んでいた頃のことを思い出した。

東京のアパートから香川に移住し、トイレ無し、風呂なしのところから新生活が始まり、ホームレスの暮らしの大変さをもう少しリアルに想像できるようになった。

この本を読みながら、これはホームレス生活のバイブル的本だと思った。ホームレスといっても、世間的なイメージにありがちな、情けない、みじめな、汚らしい、かわいそうな、といった形容詞がつくようなものではなく、自由で、創造的で、刺激的で、意思にあふれ、人間らしい暮らしである。

好んでホームレス生活をしようとは思わないが、この本を読んでいると、どんな状況になっても頭を使い、心を動かし、創造力を発揮すれば、逞しく生き生きと生きているような気がしてくる。読んでいて元気のでてくる本だった。

一人がちょうど寝られるくらいのダンボールハウスは、風が全く入らず、体温によって室温が高まり蓄熱されるので、真冬以外は寝るときに毛布もいらないくらい暖かいという話に驚いた。広くても活用できていない空間がたくさんあり、冷暖房頼りで、地震で倒壊すれば大きなリスクがある家とどっちが機能的で合理的か…。人間に必要な住まいについて、改めてゼロから考えたくなった。まずはダンボールハウスを試してみるところから…。