他人の「ハウツー」に振り回されるより、自分の目的や方法は自分で決める。


世の中には自己啓発本やハウツー本の類が溢れている。

20代の頃はそういう本が結構好きで、読みあさっていた。そういう本は、読んでいると「やる気」がでてきて、読んだ直後は、そこに書かれた方法を実行してみるんだけど、あまり続かないことが多かった。

スケジュール管理とか、To Doの管理とか、そういうハウツーも好きで、A4の裏紙を使ったり、マトリックスで整理したり、特別な手帳を使ってみたりしたが、一見ちょっと奇抜でよさげな方法でも、自分に合わないと続かない(そもそも、そんなに凝ったことをしないといけないほど予定が入っていたわけでもないのに…)。

子どもの頃、いつもの自動販売機に珍しい新製品が入っていたら一度は飲んでみた。それと同じようなものだろう。もの珍しい方法は、試してみたくなる。

ところが、試してみて失敗だったら、その分、時間もお金もエネルギーもムダになってしまう(そこから学べることもあるだろうけれど)。そういえば子どもの頃、コカコーラの自販機に「レイディオ」という新製品が入っていて、試しに飲んでみたら石鹸の味がした(!)。そのおかしな味をもう一回試したくなって、もう一回くらい買ってみたが、やっぱり石鹸の味がした。その新製品はすぐに自販機から消えた…。

本にはいろんなことが書かれているし、人はいろんなことを言う。そこから何を学び、何を取り入れ、何を参考にするか。この本を読んで「なるほどー」と思ってそっちに走り、別の本を読んで「なるほどー」と思ってあっちに走り、してフラフラしていては、いつどこにたどり着くやらわからない。

まずは、自分で目的地を定め、どんな方法で、どんな気持ちで、どれだけ時間をかけてそこにたどり着きたいか、といったことを決めることが大事だろう。そうしないと、「めちゃくちゃ高速で走る自転車を買ってきたけど別に急いでいなかった」ということになりかねない。「ペダルが軽くてこぐのがめちゃくちゃラクな自転車を買ってきたけど、実は脚を鍛えたかったのに」ということにもなりかねない。目的によっては、「ペダルがめちゃくちゃ重たくてめちゃくちゃのろい自転車」が必要なこともある(狭い庭を自転車で走り回って体を鍛えたい、とか)。ところが、普通は「速い自転車」とか「ペダルの軽い自転車」がいいとされるし、よさそうに思える。

自分で自分の目的や目標を定め、それに応じて自分で立てた方針や方法は「長持ち」する。他人が掲げるハウツーは、その人にはぴったりかもしれないが、万人に適しているとは限らない。

ぼくは他人が教えてくれるハウツーにずいぶん振り回されて時間とエネルギーを浪費したという自覚がある(上手く活用できなかった自分のせいだけど)。他人に教わるのも大事だけど、前に進んでいくためには、目的や目標、方針、方法などをその時々で自ら定め、自分の思考と身体を使って試行錯誤しながら、今これだと思うことをとにかく実行していくことが大事だと思う。


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by 硲 允(about me)
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